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ホーム > モノ作りの現場から > agari 東山風 #021



いよいよ今日から展示会です。


作業台で線のリズムを整理


装飾部の部材を一つ一つ溶接


塗装前の椅子
塗装後の変わりようは展示会場で


シェルフの側板製作中


シェルフの一部です

今回のテーマは「装飾主義」。

装飾といえば、身近な植物や動物、風景などを図案化し、
季節感や理想の世界を表現したり、願いを託したりするもの。
自分も鳥や竹や…とがんばったのですが、
いまさらながら、絵が得意でないこと発覚。
具象的なモチーフをモダンに見せるすべも思いつかず、
構想はさっそく暗礁に乗り上げました。

そんな過程で生じた疑問。
― 作りながら見出されていく「装飾」もあるんじゃないか?

思えば、ボロ布や切れ端など“あり合わせの材”を
再利用するとき、ちょっとした遊び心を加えることで、
思いがけない装飾が生まれ、
それが技術として洗練されていくこともある。
たとえば韓国の伝統的なパッチワーク布(ポッシャギ)なんて、
その大胆な構成に驚かされます。

というわけで今回のagariのテーマは、「リズムが生み出す装飾」。
幾何学的な線や方形の、
連続と変化から生まれるリズム感を、
あえて装飾と呼ぶことにしました。

それを椅子のヌキやシェルフの側板といった構造体に
自然な形で組み込んでみようと思います。

例えば、椅子。貫(ぬき)部分の限られた幅の中で、
装飾的なリズムをつくろうと、
まずは色々なハギレや切れ端を並べてみて、
出てきた図形や線を整理していきました。

すると、言語的というか、文字のように見える図案が
浮かび上がったから不思議です。
装飾部が生きるように、
フレームは座る角度や勾配のみに気をつけて、
極力シンプルに小さく作ってみました。

一方、シェルフは、岩場から石を切り出して、
自由に組み上げていくような感じが出せればいいなと。
目指すは、生々しい存在感。
素材としてはあえて少しムラがある黒染した鉄板を使い、
小口や棚板を対照的なステンレス材でキュッと締めました。

写真は全て塗装前のものですが、
実物を展示会でぜひご覧いただければと思います。

今回の展示会には当然ながら、
六組六様の「装飾主義」が登場します。

― 「装飾」によって、椅子や棚といった生活の道具が、
人を楽しませる「特別な何か」に変わる ―

自分にとって、「装飾」とはそんな本質的な力のような気がします。


東山風 (1971生)
鉄をあつかう技術を幅広く持つ工房で修行。
その後、家具メーカーの企画開発部で試作・特注製作を担当する。
2002年に独立し、個人邸や店舗の金属を使った家具・什器を製作しています。



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