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ホーム > モノ作りの現場から > agari 東山風 #025



「少量塗るだけで、切れ味抜群!!」と書いてある。

ようやく涼しい季節になり、作業しやすい環境になりました。
大量の穴あけ作業もスムーズに体が動きます。
ところが、そんな自分のやる気をそぐかのように、なおも熱くなって働かないヤツがいます。
そう、ドリルの刃です。


こんなジェル状です。


タップにも使えます。


ボール盤による穴開け


¥1,300で買ったドリル刃セット、
4年経っても使えてます。

ドリルの刃は、穴を開け続けると刃先に熱を帯び、
切れが鈍くなります。
それを防いで切れ味を持続させるために、
これまで使用していたのは潤滑油等のスプレー式のものでした。
ところが、最近はカッティング・ペーストという
切削油がお気に入りです。
カッティング・ペーストはジェル状なので
つけたいところにだけ使用でき、とても効率的。
缶入りのものもありますが、今使っているのは、
はみがき剤のように少量だけ出せるチューブ式で、
経済的でもあります。
このペースト状の切削油、
旋盤工のような鉄を削りまくる場所では一般的に使われており、
比較的パイの大きな穴明け作業には欠かせないらしい。

実はこれまで、オイルを直接ドリル刃に塗り付けて使用するのは
非効率的だと思って避けていました。
作業中、刃が熱くなる前に
回転しているドリル刃に向けて潤滑油をスプレーする方が、
作業が中断せずに進む気がしていたのです。
直接触れるのって、手間じゃないですか。
それはトイレ掃除で、洗剤をぞうきんに付けて
直接こするよりもスプレーして水で流すだけとか、
ゴキブリを殺虫剤で殺した後ティッシュで直接つまむよりも、
泡で固めて捨てる方がいいという感じです。
たぶん、かなり違う気もしますが、まあ、そんな感じです。

ところが、このカッティング・ペーストというやつは、
少量塗るだけで、新品の刃ではないかと思うほど
スゴい切れ味になります。
ジェル状なので密着性が高い。
最近流行りのまとわりついて、すぐに流れない
カビ取り剤のような感じでしょうか。
持続力もあり、何度もつけないで済むのも利点です。
おまけに、スプレー式と違って周囲を油だらけにすることもなく、
作業場もキレイでいい感じ。
さらに、刃の寿命も延びるというから、一石三鳥です。

最近は、刃先にペーストをつけるのではなく、
穴を開ける部材の方にドリルで少しくぼみをつけ、
そこに少量のペーストを落として使用すると、
刃の回転を止める事なく連続して使用できること発見。
なんだか穴開けが楽しくて仕方ありません。

木は穴開けられるけど、鉄は固くて手に負えない
とおもっているお父さんにも強い見方です。
「わたしには関係ない」と思っているそこのお母さん、
なんなら鉄製の窓枠へのカーテンレール取り付けにも
チャレンジできますよ。うまく切削油を使ってくださいね。

今回は、まるでメーカーのまわし者のような
内容になってしまった気もしますが、
切れない包丁では料理の楽しみも半減なのと同様、
作業のイライラを解消するちょっとしたアイテムに感謝する毎日です。

そんな、“ちょっといいなアイテム”の情報があれば、
ぜひお知らせください。
お待ちしています。


東山風 (1971生)
鉄をあつかう技術を幅広く持つ工房で修行。
その後、家具メーカーの企画開発部で試作・特注製作を担当する。
2002年に独立し、個人邸や店舗の金属を使った家具・什器を製作しています。



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