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ホーム > モノ作りの現場から > agari 東山風 #033



今回の展示会も多くの皆様にご来場頂き、本当にありがとうございます。

今回アガリは、7+(プラス) 、7×(エックス)と名付けた照明を作りました。
「7」は7つの光源、「+」や「×」は、それらが放つ光のスジの方向を表しています。
この光のかたちを生み出すためのしくみが最初からわかっていたら話が早かったのですが、
いかんせん、「こういう光のスジを作り出したいなあ」という漠然としたアイディアからスタートしたため、
ガラスやプラスチック、布・・・と、光のスジミチを出すためのシェード選びにもっとも時間を費やしました。



最終的に布に落ち着いたわけですが、光のスジをはっきりと
出すためにはある程度透ける素材である必要があり、
シェードの内部構造が結果的に見えることになります。
電気を消した状態でも品良く見えるよう、電球を支える
アームもモビール風に、バランスを考えて作りました。





また、光のスジを主役にするには、
作りのシンプルさが鍵となります。
シンプルにすると目立ってくるソケットや配線、
枠組みの太さのバランス等にもかなり気をつかいました。


「7+」は、十文字の光のスジを出しました。
布をあてながら試行錯誤を繰り返した結果、
ひとつひとつの電球の明るさ(ワット数)が明るすぎても
暗すぎても思い通りのスジが出ないし、
さらに電球と布の距離の取り方も重要だということが
わかってきました。


一方「7x」は、エックス型のスジ状になっています。

そしてもっとも肝心なのが、
このスジを映し出すスクリーンとなるシェードの出来です。
布の張り方によって光のスジの方向が決まるのですが、
非常に薄い生地であるため、
張りには高度な技術が必要となります。
相談しながら、シェードの張りに何度もチャレンジしてくださった
GLOWさんには感謝の一言です。



前回の展示会までは、金属を使ったものづくりの過程で
得た技術や素材の使い方自体が、
モノを発想する源となっていました。
しかし今回の「照明展」で取り組むことになった「光」と
いうのはそもそも、何かに反射してかたちが見えるものです。
そこで、鉄の技術を眼に見えて表に立たせるのではなく、
むしろ裏方にまわすことによって、
実体がつかみ辛い“光のかたち”を浮かび上がらせることに
苦心しました。
結果的には布という慣れない異素材と格闘する事に
なったわけですが、月並みですが、
異素材を活かすために、逆にどのような技術をもって
鉄を活かすべきかを考える良いきっかけになりました


このような機会を与えて下さったマックスレイさんはじめ、
ご協力頂いた皆様、ご来場頂き御意見を下さった沢山の方々、
そしてメンバーとして迎え入れてくれた
現代手工業乃党の皆様にも感謝です。
(内輪ですいません・・・)

今までご声援下さった皆様のおかげもあり、
改良の余地は多々あるものの、
なんとかモノ作りを続けてこられました。

精神的にも技量的にもさらに向上するべく努力が必要だと、
改めて襟を正した展示会でもありました。


東山風 (1971生)
鉄をあつかう技術を幅広く持つ工房で修行。
その後、家具メーカーの企画開発部で試作・特注製作を担当する。
2002年に独立し、個人邸や店舗の金属を使った家具・什器を製作しています。



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