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ホーム > モノ作りの現場から > agari 東山風 #038



大変ごぶさたしております。
細々とやっております、アガリです。

今回は部屋を彩るもの、その名も「ホームアクセサリー」がお題です。



部屋の息づかいを感じさせるもの

「部屋を飾り立てるもの」といえば、そりゃ置物だろ、
ととりあえず自宅を見回してみる。
奈良の春日神社のおみくじ鹿、貼り子の雀、
リアル北極アニマル...と、
なぜか小さな動物たちが部屋中に散らばっていることが発覚。
こいつらは部屋を楽しくはしてくれるけど、
自分が動物を作るのはさすがにちょっと...と思いなおす。




見方を変えてみれば、
実はこんなにたくさんの動物が
自分の部屋にいたことに驚いたこと自体、
あまりに見慣れてしまった棲み家というのは、
「生活のための道具」化してしまっていて、
ハサミをハサミとしてまじまじと見る事がないように、
部屋を部屋として意識することがなくなっている。
そんなことに気づかされました。

そんな目線で部屋の中をぐるぐると歩いてみれば、
壁に留めてあるチラシがハタハタとはためいたり、
電球の影がゆらいだり。
突然、普段は部屋のなかにあるのに
見えていなかった風や光に一瞬驚いて、
ふしぎーな気持ちになりだすから、不思議です。




影絵芝居や あやつり人形のわくわくするような感じ、
ヤジロベイ的なゆらゆら。
ふと、いつもとは違う非日常の世界
に連れ込まれるような瞬間...

そんなものをつめこんで、部屋のなかにいつもあるのに、
見えていないもの、“部屋の息づかい”を感じさせる
仕掛けを作りたいと思いました。
空気の流れや吹き込んだ風、差し込む光や影、
重力なんかを楽しむためのちょっとした仕掛けです。




「鉄に刺繍をしてみたい」

「シカケモノ」と名付けた今回の展示作品のなかには、
デザイナーでファブリック小物などの作り手でもある
齋藤まやさん(kacharaz)とのコラボレーションものがあります。
一緒に制作したのは、
鉄のオーナメント(agari)×デコレーション(kacharaz)。

斎藤さんはハッとさせるような柄や
色合わせの布モノだけではなく、
驚くような素材使いや異素材の取り合わせをする、
まさに意表をつくデザイナーさんです。
はじめはフレームの中に入れる中身を
布モノでお願いしようと声をかけました。

ところが、「今自分の中で刺繍が流行っているから、
鉄に刺繍がしたい」という返事が。
さらに、
「来たカタチに対して自由に糸を刺していく方が面白い」
と、まるで挑戦状のような言葉がかえってきたのです。
彼女の「なんでも来い」的な頼もしさに驚きつつ、
結果、いらぬドキドキ感を交えつつ、
とても楽しい共同制作ができました。



乾いた鉄に刺された、刺繍糸やスパンコールの妖しい美しさ。
“刺繍した鉄”、ぜひ会場で直接見てみてください。

展覧会は22日〜31日まで
世田谷ものづくり学校(IID)のギャラリーで。
お時間があれば、お立ち寄りください。



kacharaz カチャラズ
kachrazは齋藤まやによるデザインレーベルです。
2003年よりオリジナルの商品開発をスタートしました。
ハンドワークの暖かみと力強さがデザインワークの心がけです。
商品開発のほか、デザイン提供やアートワーク活動もしています。

東山風 (1971生)
鉄をあつかう技術を幅広く持つ工房で修行。
その後、家具メーカーの企画開発部で試作・特注製作を担当する。
2002年に独立し、個人邸や店舗の金属を使った家具・什器を製作しています。



#040 2009.12 骨パンダさんと銅の引き戸
#039 2009.06 部屋の息づかい―「シカケモノ」part2
#038 2009.05 「シカケモノ」
#037 2008.08 自分寄りのトロフィー
#036 2008.07 器としてのトロフィー
#035 2007.12 一筆書きのツリー
#034 2007.07 34回目にあたり
#033 2007.06 光のスジミチ
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