モノ作りの現場から(アーカイブ) | 読みモノ(アーカイブ) | 最新のコンテンツはこちらです
ホーム > モノ作りの現場から > Delivery Works 俵藤ひでと #015




エピソード

15年前、僕が学生の頃していたバイト先に、かなりやんちゃな高校生がいました。
その5、6年後でしょうか、僕は父親のもとで加工業に従事していて、
以前からお願いしていた塗装屋さんに僕が初めて行った時のことでした。
そこの社長さんのお顔を拝見した際、僕の脳裏にふとあの時の高校生が・・・

「社長さんに息子さんっておられます?22、3歳の。」と訪ねると、
「いるよ」と答える社長。
「お名前が一緒で、顔がどことなく似ている人を知っていたので・・・ずいぶん前に○○○のバイト先なんですけど。」
「たぶんウチの息子だ。ここでやってるよ。今は出払ってるけどな。」

後日再び品物を引き取りに行った時、彼に久しぶりに会った。

「俵藤くんじゃないですか。今何してんっすか?」

相変わらずでした。やる気があるんだか無いんだか分からん、ひょうひょうとした感じ。
そんな話も9年前。
現在もお世話になっている「荒木塗工所」の荒木幸広さんを紹介します。



こんなカンジの荒木幸広



工場内風景(忙しそうでした)



社長の親父さん。道で会ってもいつも声をかけてくれます。



オーバーセブンティーでバリバリの現役です。凄すぎる!
経験値の固まりです。



2番目に大きい窯。金庫みたいです。
先代から受け継がれた年代モノ。
ホント頑丈です。



1番大きい窯。この中を温めるのにも時間がかかる。



ワリと小さな窯も有ります。



塗装前の品物。
パテでへこみをうめて、表面を慣らします。



大量のリング。
梱包してありますが、船舶に取り付ける海洋無線のアンテナだそう。



以前食べさせてもらった彼の作る「ミャンマーカレー」は絶品でした。

荒木 別にあらたまって話すことも無いんじゃないですか!俵藤君もだいたい分かってるでしょ。

俵藤 まあ、テレんなって。意外と聞いてないもんだよ。

荒木 テレて無いですよ、早く帰りたいんです。

俵藤 そう言わずにさ・・・
例えば「荒木塗工所」がいつから始まったとか。

荒木 工場は40年以上前からこの場所にありますよ。

俵藤 親父さんの代からここに?

荒木

そうだと思いますよ。
お祖母ちゃんが言ってたんですけど、
この辺り福沢諭吉の土地だったみたいですよ。
それを買ったんだか借りてんだか、
お祖母ちゃんの話ですからホントかどうか分かんないっすよ。

俵藤

でも有り得るんじゃない、
となりは「慶応幼稚舎」のプールだよね。
高速道路はさんで向こう側は慶応幼稚舎の校舎だし。

荒木 どうなんでしょうかね、良く知らないんですよ。

俵藤 いい加減だなー、で荒木が二代目?

荒木

祖父さんの代から始めたから、三代目?
別に継いでる訳じゃないですけど・・・
まあ60年くらいにはなるんでしょうね。

俵藤 うわっ長いね、最初から焼付け塗装業なの?

荒木

そうですね、ウチにある窯(焼付け)、
全部祖父ちゃんのお手製ですよ。
もちろん業者さんに製作してもらってですけど、
祖父ちゃんのノウハウで作られたんです。

俵藤 スゴイ!長持ちしてるし、バリバリの現役じゃないか!
頑丈だね。

荒木

頑丈もなにも、窯の中のアングルを短くしようと
思ったんですけど、全然切れないんです!
鉄なんですけど長年焼きが入ってスゴイ硬くなってて・・・
解体する時どうすんだろうって思ってます。

俵藤 ところで専門の塗装は何になるのかな?

荒木

「金属各種塗装業」と言うくくりです。
だから俵藤くんがたまに持って来るアクリルとか、
ホントは塗りたく無いんですけど(笑)。

俵藤 そんなこと言うなって。で、どんな品物が多い?

荒木 空港とか駅で使われるサイン関連のパーツですかね、
パーツって言っても割りとデカイですよ。

俵藤 焼付け(メラミン焼付け塗装)がメイン?
一番大きい窯の大きさは?

荒木 W3200・D1500・H2300です。
それ以上大きい品物は、ウレタン塗装で自然乾燥です。

俵藤 ウレタン塗装でも窯に入れて乾かしてるよね?

荒木

うちはウレタンでも50度で3時間くらい入れますね。
ちゃんと乾燥させることで
塗料の食い付きが良くなるんです。
自然乾燥だとちゃんと食い付くまでには
1週間くらいはかかるんですよ、季節にもよりますが。

俵藤 そうなんだ。硬化剤混ぜてから塗るよね?
だから1日位で固まると思ってた。

荒木 まあ触れるんですけど、厳密にいうと表面だけで
芯まで固まって無いんですよ。

俵藤 主のメラミン焼付けの温度は?

荒木

メラ焼の場合は塗料を吹き付けた品物を
窯で徐々に温度を80度まで上げた後、
窯の火を止めて徐々に冷まして行きます。
完全に冷めてはじめて塗料が金属に食い付くんです。

俵藤 でも仕上げるまでにパテしたり、
下塗りしてまたペーパーで仕上げたりと大変だよね。

荒木 ま、そうですね。

俵藤 10年後、親父さんや叔父さん達が引退した後、
荒木一人になるじゃない。どうするとか考えてる?

荒木

それ考えて、そうなる前に職を変えなきゃって
思ってましたね。
この歳で次の仕事探すにも無いっスから(笑)。
あ、でも続けますよ一人でも。
やって行ける自信が出て来たんで。

俵藤 そうだよ技術があるんだからさ。

荒木 これしかないってしがみついてる訳じゃないですけど、
コレで食ってく覚悟はありますね。
今あらためて親父達が朝から晩まで普通に仕事してるの、
そういうの見てて何かスゲーなって思ったんですよ。
それを守って行く・・・って言うのでもないんですけど・・・
まあ、やってますよ、たぶん。

俵藤 アナタ流に変わって行くんだろうね。
変えて行かなくちゃだめだとも思うし。

荒木

仕事は(お客さん)は変わって行くでしょう。
今の仕事は大モノ、数モノが大半ですけど
それだけじゃなく、もっと面白いことに挑戦するハバ、
もしくはそういうコトを考える余裕を持ちたいですね。

俵藤 こなすと言う仕事だけじゃなく、
提案もしていくという事だよね。

荒木 そうですね。

俵藤 そっかあ。荒木も大人に成ったね〜。
なんだか懐かしい話したくなっちゃった。そう言えばさ・・・

荒木 あの、今日忙しいんで、そういう話はまた今度で・・・

俵藤 ・・・・・。(バッサリ切られた)


彼の仕事は丁寧です。
何より加工する前に不備な点に気付いてくれるし、
メリット、デメリットを言って僕に選択肢をあたえてくれます。
頼れる職人であり友人です。
夜な夜な試作づくりに付き合ってくれたこともありました。
いつまでも一緒に仕事してくれると嬉しいですね・・・嫌がらずに(笑)


有限会社 荒木塗工所
所在地 東京都港区白金5-12-7
業務内容 金属製品塗装
TEL 03-3441-7626
FAX 03-3449-7178
サガシモノ (有)荒木塗工所

俵藤ひでと (1972生)
ICSカレッジオブアーツ卒
1995年 ひょうどう工芸入社
2002年 デリバリーワークス設立
アクリル加工を中心とする特注家具・照明器具・立体物のデザイン製作
オリジナル家具・照明の企画デザイン・製作・販売



#066 2010.08 新しい五月人形
#065 2010.07 アクリルのトランク型ディスプレイ什器
#064 2010.06 展示会のまとめ
#063 2010.05 現代手工業展2010
#062 2010.04 アートとモノ作り
#061 2010.03 アクリル引きモノパーツ / 現代美術VOCA展
#060 2009.12 コレクションショー
#059 2009.10 ショップ什器 / 展示会のお知らせ
#058 2009.08 バーテンダー
#057 2009.07 多摩美素材実習
#056 2009.06 2009年展示会を終えて
#055 2009.05 展示会に向けて2/コラボレーション
#054 2009.04 展示会に向けて−アクリルで本をカタチ作る
#053 2009.03 アクリルの茶杓 / 伝統と現代
#052 2009.02 掛川現代アートプロジェクト/アクリルの棗(なつめ)
#051 2009.01 氷のアクリル
#050 2008.12 NYにて
#049 2008.11 ニューヨークへ
#048 2008.09 裏方にまわる楽しさ
#047 2008.08 2008年展示会を終えて
#046 2008.07 想い込めて。仲間の協力を得て。
#045 2008.06 キスの練習 くちびるの習作
#044 2008.05 展示会のテーマ「誰かの為のギフト&トロフィー」
#043 2008.04 手を離れ商品化へ!
#042 2008.03 IID世田谷ものづくり学校でワークショップ
#041 2008.02 アクリルのシャンデリアの行方
#040 2008.01 ご挨拶
#039 2007.12 実習講義 素材とたわむれる
#038 2007.11 デザインにユーモアを
#037 2007.10 ある仕事の風景
#036 2007.09 ポリへドロン
#035 2007.08 アクリルの茶杓
#034 2007.07 バングルのデザイン - メイド イン ジャパン -
#033 2007.06 展示会、真っ最中
#032 2007.05 仕事とは時間を共有すること/6月の展示会に向けて
#031 2007.04 モノを作り表現する女の子たち
#030 2007.03 (続)プラスチック ってガンバってるかも
#029 2007.02 プラスチック って言っても様々
#028 2007.01 マイナーチェンジを繰り返す
#027 2006.12 多摩美術大学にて
#026 2006.11 趣のあるアクリル 茜色に染める
#025 2006.10 端折ってはいけないコト そこに愛はあるのかい?
#024 2006.09 FRPかぶき野郎
#023 2006.08 アクリルをシェイプする
#022 2006.07 展示会を終えて
#021 2006.06 展示会に向けて
#020 2006.05 友人の店を仲間達でつくる
#019 2006.04 ダイソン。それは格好良いだけじゃない掃除機。
#018 2006.03 絵のある部屋
#017 2006.02 アクリルの表現力
#016 2006.01 ロゴデザインをする
#015 2005.12 有限会社 荒木塗工所
#014 2005.11 マーキングフィルムで遊ぶ・レッツ カスタマイズ!
#013 2005.10 製作の現場だから気付くこと、出来ること
#012 2005.09 Delivery Works 南部健太郎
#011 2005.08 無駄の中に宝がある(大人編)
#010 2005.07 無駄の中に宝がある(子供編)
#009 2005.06 (有)クラフトロ 矢野心吾さん
#008 2005.05 ひょうどう工芸代表 職人 俵藤益仁
#007 2005.04 リートフェルトへのオマージュ
#006 2005.03 ショップサイン・電飾看板
#005 2005.02 アクリルの接着加工について
#004 2005.01 島谷製作所
#003 2004.12 大河原製作所
#002 2004.11 savor 末松貴久・小橋佐和美
#001 2004.10 展示会