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ホーム > モノ作りの現場から > Delivery Works 俵藤ひでと #023



前回の展示会でスカルのアクリル彫刻を発表したコトもあって、
エグジットの清水くんから「俵藤くんなら出来るよね」的な依頼!

アクセサリー・ジュエリーブランド「JAM HOME MADE & ready made」さんのショップで
ベルトをディスプレイする什器のパーツで、人間の腰まわりを一部輪切りにした形状を
アクリルで製作するというモノでした。



サンプルボディーの必要な部位を
水平に切り出すためにレーザーで
墨だしする。

清水くんは、JAM HOME MADEのデザイナーの増井さんと共に
店舗設計から什器のデザインに関わっていて、
僕も以前からアクリルの製作物には関わらせて頂いてます。

今回は図面がある訳では無いので、
「有る程度僕の感覚で作っていいですか」と任せて頂きました。

下半身のマネキンを指定の部位をカットして、
それをサンプルに見ながらアクリルを削っていきます。


W300xD250xH150のアクリルブロック
これだけでも存在感がある。

W300×D250×H150のアクリルブロックを特注で
業者さんに作ってもらいます。重量は約13kg。


サンプルを見ながらディスクグラインダーで
ひたすら削り続ける。

ジグソーで荒切りして、次にディスクグラインダーで荒削りします。
ここで出来るだけ早く沢山削りたいのですが・・・
彫刻は材料を足すことは出来ません、
削りすぎたら最終回です。
形状が見えて来るまで中々進みません。
慎重さと、大胆さが必要。

イメージがつかめてきたら、息を止めるように一気に削り続けます。
電話が鳴っても出ません!
一度気持ちが切れちゃうと、立て直すのに時間が掛かるから。

身体のラインや筋肉は少しデフォルメすることを
意識しながら削りました。



オービタルサンダーとサンドペーパーの間に
スポンジを挟んで表面を仕上げる。

ディスクグラインダーで削った後は、
溶けたアクリルが表面に付着しているので
ヤスリやナイフで根気強く削り取り、
それからサンドペーパーの番手を徐々に細かくして
表面をならして行きます。


男性の腰の後下部


バフで鏡面ミガキも良いのですが、
ボディーラインの細かい表現がぼんやりするので、
最終仕上げはサンディングマットで、
少しヤスリ傷をそのままに「手仕事の艶かしさ」を残しました。



ステンレス製のベースはもちろん
EXIT METAL WORK SUPPLY製。
厚さ20mmでサンディングマット仕上げ。
まるでチーズケーキの様なテクスチャー


JAMさんのベルトとリングが
ディスプレイされ完成なんだな。



現在、立体物を作るのに射出成型ではなくて、
3次元切削マシニング加工や、
光造形(液状の光硬化性樹脂を紫外線レーザーにより、
一層ずつ硬化させ、重ね合わせていく工法)といった
機械加工で小ロットからも製造できます。
3次元CADデータの入力で精密な寸法で加工も出来て
コストも大分下がって来ました。
(今回のボリュームのアクリルの塊を切削出来るところは
あまり無いと思います)

ただし早く・正確に作るという事を優先しています。
もちろん素晴らしいテクノロジーだし、
インダストリアルの世界で重要な事ですが、
アクリルなどの樹脂加工に芸術性持たせよう
と言う方向にはあまり行かない訳です。
まあ、当然と言えば当然です。


彫刻とは古代の人と変らないプリミティブな作業。
現代において敢えて逆行する、
アクリルの彫刻「アクリルのシェイパー(shaper)」
という新しいジャンルが確立出来たら面白いと考えてます。

新しい可能性が見えた素敵な仕事でした。
増井さん、清水くんありがとうございました。
今度は上半身作りたいです!やりましょうね(笑)

JAM HOME MADE & ready made 東京店
ADDRESS 東京都渋谷区神宮前6-25-10
TEL 03-5466-2150
OPEN 12:00pm〜20:00pm
URL http://www.jamhomemadeandreadymade.com



俵藤ひでと (1972生)
ICSカレッジオブアーツ卒
1995年 ひょうどう工芸入社
2002年 デリバリーワークス設立
アクリル加工を中心とする特注家具・照明器具・立体物のデザイン製作
オリジナル家具・照明の企画デザイン・製作・販売



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