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ホーム > モノ作りの現場から > Delivery Works 俵藤ひでと #024




作者のタケマン


等身大のポートレート


FRP製のオブジェ
















今回はモノ作りをしている友人「タケマン(武田剛)」を紹介します。

普段は、ユニバーサルスタジオやディズニーランドなどの現場で
「FRP(Fiberglass Reinforced Plastics)」という
繊維強化プラスチックを使って
空間演出の造作をする加工技術者なのですが、
彼にはもうひとつの顔があり、
こっちの方が彼にとって大事なのかもしれない。

それは「表現者」という側面。

共通の友人を介して知り合って10年になるのだが、
出会った頃からすでに書や絵、映像、立体と
表現手法にとらわれない作家活動をしていた。

軽量モルタルで製作した等身大の裸婦像の彫刻が、
何体も重なり合う酒池肉林のハーレムなのか、
ホロコーストによる死体の山の様にも見える作品。
また、テーブルの上の皿に置かれた林檎を
女性器に見立て、それを彼自身の両腕をかたどった彫刻が
ナイフとフォークで食べようとしているオブジェ。
何色か組み合わせたストライプで描かれた抽象的なプレートと、
対比するように全裸の女性が歩く直接的な映像が
スクリーンに映し出されるものなど・・・

ここ数年、彼の個展のテーマは一貫して「色とエロス」。

今回は、"十二単衣”をモチーフに作品を製作。
コンセプトは彼の言葉で
「男性である自分が、
女性の面をかぶり、女性性を感じることで、
男性と女性の追い求めているものを両得し
両性具有ともいえる人間の未知なるエロスに
近づくことはできないだろうかと考えた。
色とエロスを追及するために表現してきた色遊び、
十二単衣という季節や人柄を表す雅な遊びが重なり、
十二単衣を使った私なりの色遊びを試みた。」

十二単衣をまとった女性の様々なポーズを収めた写真は、
拘束的な十二単衣の効力を無くすかのよう。
踊る姿や、色鮮やかな衣服から見え隠れし、
時に露わになる素肌に、いにしえから受け継がれた
日本女性の官能美と生命力を感じた。

対照的に、色の無い十二単衣をかたどった彫刻的な作品は、
透明度の高いFRPで作られ、
今まで見た事無い造形物に、
ただ眺めていたいと言う感情と、
触ってみたいと言う衝動が生まれた。

彼にとってエロスは具体的な部分ではなく、
抽象的なトコロにこそエロスを表現していると言う。
欲望、欲求、もしくはそれを焦らされたりする感情の中に
存在するのではないかと。

僕自身、彼の作品をちゃんと理解するには
まだ時間がかかるかもしれない。
けれど彼自身もこのテーマを探り続けているし、
見る人がどう感じるのか知りたいのだ。
押し付けてる訳では無い。

ただ僕は彼の作品を見るたび、仕事の丁寧さ、
技術の高さには毎回驚きと発見がある。
「存在証明を欲望する完成度の高いプロダクト」
とでも形容しましょうか。

生活に役立つの?必要か?
そんな問いはどうでもいい。


「かぶく」とは歌舞伎の語源にもなっている言葉で、
どちらかに偏って真っすぐではない様を言う。
そこから転じて、人生を斜に構えたような人、
身なりや言動の風変わりな人などを
「かぶきもの」というそうだ。
江戸時代、出雲の「阿国」と言う女性が、
乱暴狼藉をはたらく武士の風体を真似て踊ったことから
「女かぶき」が流行するが、
風紀を乱すという理由で幕府から禁止された。

表現の自由を奪われ、戦った「阿国」。
この女性に、タケマンは自身の姿を重ね合わせたのだろうか。
芸術とは誰の中にも存在するもの。
しかしそれを表現し貫く事は勇気と決断が必要なんだ。
そんなふうにも思った。

彼の個展は、残念ながらこの記事がアップするころには
終了してしまいます。

透明FRPの十二単衣のオブジェの価格は170万円。
サイズはW1500×H1500×D1800。
同じものを業者さんに製作依頼しても、
200万〜300万はかかるかもしれない。

欲しい方はお買い得だと思う。
商業施設や、出版物の撮影、インスタレーションなどの
リースも考えているので興味のある方はこちらまで。

武田 剛(タケダ ツヨシ)
E-mail tt@ppggpp.com


俵藤ひでと (1972生)
ICSカレッジオブアーツ卒
1995年 ひょうどう工芸入社
2002年 デリバリーワークス設立
アクリル加工を中心とする特注家具・照明器具・立体物のデザイン製作
オリジナル家具・照明の企画デザイン・製作・販売



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