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ホーム > モノ作りの現場から > Delivery Works 俵藤ひでと #025




レーザーカットしただけ


コグチ(切り面)が鋭く、
しかもデコボコしてる。

とあるウェブサイトのオンラインショップで
アクリル製のリングを見つけた。
遊び心のある可愛いデザインで、
しかも値段が安い1000円ちょっとである。

気になる。
どんな作りなんだろうと思い、リサーチも兼ねて2つばかり購入した。

後日品物が届き、実物を手に取りガッカリ・・・
というより信じられないと思ったのだ。

それはアクリルの板をレーザーカットだけで
終わらせた切りっぱなしで、
切り面が非常に鋭利なのである。
アクリルを加工する上で必ずやらなくてはならない、
コグチの面取りをしてない。
まして指輪のように、身に付けるモノとしては有り得ない。
危ないと言うより絶対にケガするからだ。

ということで、このリングに本来しなければならない加工をして、
身に着けられるモノにしようと思う。

ついでに、レーザーカットで切り面に付いた
縦ラインのキズも消してキレイにします。
レーザーでアクリルを切ると切り面が磨いたようになるのだが、
レーザーのパワー(出力)と、
切るスピード(送り)のバランスが悪いと、
今回のリングのようになってしまう。
上手い工場さんだとこうはなりません。



先ず、サンドペーパー(耐水ペーパー)で凹凸を削り落し、
番手を細かくして行く。
(400番→600番→800番と細かいほど、
磨く時に楽だしキレイに仕上がる。)



次にナイフでコグチの面取りをする。
今回これが一番大事。
レーザーカットで加工した品物は、抜け際が特に鋭利になっている。
ただ、あまり角を取りすぎると
デザインにシャープなイメージが無くなるで注意。




バフで全体を磨く。
この時も押し付け過ぎると、角が丸くなるので注意。




バフで磨けないリングの内側は、
布にコンパウンド(研磨剤)を付けて指で擦る。
さらに細かいツヤだしコンパウンドで磨くと
アクリルがピカピカになる。


コグチが滑らかになり、
透明度が上がり屈折率も高くなる。

「ビフォー・アフター」
見違えるほど変わります。手間をかけてるので当然です。


Before / After


Before / After

ここまでやれとは言いません、お値段の事もあるのでね。
しかし、加工工程を少なくしてコストを下げたいのは分かるが、
絶対に端折ってはいけない所がある。

誰かが作ったモノにケチを付けてるつもりはない。
むしろ憤りを感じているのだ。

アクセサリーは親しい人に送ることが多い。
そこに愛があるという事に気付いて欲しい。





ただ、唯一の救いは
このリングが「MADE IN JAPAN」ではなかったこと。









以前、僕が友人のために作ったもの。

「Candy Ring」
銀紙に包まれてた指輪です。

それぞれに、Candy、LIFE、taste 、suck、と文字が入っています。
全部合わせて「人生を飴のように舐めて味わう」
とでも言いましょうか。

その日の気分、自分の解釈で組み合わせて、
隠れメッセージに使うのも如何かなと。

時には「suck LIFE」と、やさぐれてみるのもいいでしょう。



俵藤ひでと (1972生)
ICSカレッジオブアーツ卒
1995年 ひょうどう工芸入社
2002年 デリバリーワークス設立
アクリル加工を中心とする特注家具・照明器具・立体物のデザイン製作
オリジナル家具・照明の企画デザイン・製作・販売



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