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ホーム > モノ作りの現場から > Delivery Works 俵藤ひでと #027



先月、多摩美術大学環境デザイン学科へ実習講義の講師として行って来ました。

以前からお話しは頂いていたのですが、
限られた時間の中でどんな事が出来るか、何を教えれるのかと、迷っていました。
アクリル加工をするには設備や道具が必要。
しかもそれを生徒さん90人分を揃えることは難しい。
ケガさせてもいけないし・・・などなど思案した結果、
あまり堅苦しいコトを考えず難しいコトをしようともせず
アクリルという素材を触ってもらってどんな反応するのか、
逆にこちらが知りたいよと、そんな気持ちで挑むコトにしました。



人数が多いので9人1グループで実習してもらいました


溶剤接着でアクリルの箱を組み立てる


50×50×50のブロックを削りかたち作る


講義の日程は2週にわたって2回。1日に90分を2コマ。

初日はPCとプロジェクターをつなぎ、
今までに製作したポートフォリオを見てもらい、
仕事の内容や製作工程などの説明を聞いてもらいました。
なにせ一方的に話しを進めているので、
つかめているのか分からずちょっと不安になりましが、
自己紹介だと思って聞いて下さいと、
現代手工業乃党と、自身のウェブサイトなども見てもらいました。

1コマが終わり、休み時間には
「ポートフォリオ面白かったです」
「商品とか買えるんですか?」
と学生さんがけっこう声をかけてくれて、
少し気が楽になりました。
親近感を持ってくれたようです
(講義準備中の僕を誰も講師だと思わなかったそうです・・・飛び入りの学生?)

2コマ目からいよいよ実習に入ります。
あらかじめ僕の方で用意したアクリルのキットを支給し、
パーツを組立てアクリルの箱を作る。
アクリル加工の基本である溶剤接着を体験してもらう。

この後透明アクリルブロックを支給され、自由なカタチに削る。
機械加工に頼らないプリミティブな作業でも、
アクリルを加工出来る事を知って欲しい。
金ヤスリで削ったり、サンドペーパの番手を徐々に細かくして、
研磨剤を布に付けて擦り続けるとピカピカになる。
頑張った分だけ必ず反映されるし、
アクリルの重さや硬さを肌で感じれる。

それを先に作った箱の中に入れて完成なんですが、
こちらで少し意地悪をしています。
箱の内寸よりブロックのほうが0.5mm大きくなっていて、
削らないと中に入らないのです。

任意なんですが、時間の都合上、
次の週の講義までに各自出来る所までやって来てと。
こうなると実際、加工手段は問わない。
仕事量、完成度は学生のモチベーションによって
差が出てきても仕方ないです。

どんなのが出てくるか、どこまでやってくるか楽しみです。



電動ドリルに布バフを装着し、万力で固定。
即席ミガキマシーン。


コツをつかんだ学生さん。
でも油断するとアクリルがスゴイ勢いで吹っ飛びます。


家に持ち帰って削って来た学生の作品
氷が解けて水たまりが出来る様。
素晴らしかったです。


今ある僕の作品やサンプルをいくつか持っていきました。
だいぶ食いついてくれました。


2回目の実習講義。
学生ともだいぶ打ち解けてきました。
「どこまでやれました?」
しかし半数くらいの子達は、ノータッチでした。
別に責めません。
他の課題、バイト、それぞれ事情もあるでしょうから・・・
あくまでも任意作業。
今日の実習内で出来るトコまでやりましょう。
そんなこともあろうかと、即席みがきマシーン(バフ)と、
ハンドルーターを持って来ました。
やっぱり、やる気のある子には更に完成度を高く、
遅れてる子にはどうにか時間内でカタチにしてあげたい。

ひたすら磨いたり削ったりとお手伝い。
自分達の作品の透明度が増しピカピカになって行く様を
素直に感動してくれる事が嬉しかった。

学校側もアクリルの実習講義は
初めての試みだったようでしたが、
途中ではける生徒も無く
食い付きが良かったと喜んでくれました。
楽しかったと言う声もたくさんもらい、
何より興味を持ってくれたことが嬉しかった。


授業が終わった後も学生さん達と
モノ作りの話しをいろいろしました。
そのとき仲良くなった男の子の一人がボソッと言いました。
「やりたいことは沢山あるけれど、
今やってることに意味があるのか分からなくなる。」

大学を後にし、帰りの車の中で学生の頃を思い出した。

仲間といて楽しかったけれど、どこか何時も不安があった。
この先自分がこの世界でやって行けるのか・・・
からさわぎ出来るような学生生活じゃなかったなぁと。
学校は正解を教えてくれる場所ではなかった。

卒業してからもデザイン事務所やメーカーの設計部を転々とし、
宅急便の配達の仕事をしてた時もあった。
でも結局僕は好きだからこの道を選んだし、
この道でご飯を食べて行くと決めた。
何をもって成功とかも分からないし、
偉そうな事も言えないけど、そんなに焦らなくて良いと思う。
僕も君等と同じだった。チョッとずつ進めばイイじゃない。

いつか、何だか楽しそうに仕事してる兄ちゃんに会ったなと
思い出してください。
先で一緒に仕事が出来たら良いですね。


多摩美術大学環境デザイン学科研究室HP
http://eddnews.exblog.jp/i5

俵藤ひでと (1972生)
ICSカレッジオブアーツ卒
1995年 ひょうどう工芸入社
2002年 デリバリーワークス設立
アクリル加工を中心とする特注家具・照明器具・立体物のデザイン製作
オリジナル家具・照明の企画デザイン・製作・販売



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