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ホーム > モノ作りの現場から > Delivery Works 俵藤ひでと #049




チェルシーギャラリー街周辺


今回の舞台 Barry Friedman Ltd


作品をセットアップしている米原夫妻


ギャラリーのスタッフ
手際よく取り付けしています


ちょっとHな壁紙を貼るロスから来た職人さん


96コマの一番大きい作品


ピンクのフレームも可愛いですよ


パーティーは大盛況でした


ワイド6mの作品


米原康正さんと、クリアエディションの中牟田さん


右から米原葉子さん、現地コーディネータのカナエさん、クリアエディションの北原さん


左から、こっちで作家活動しているミヤジ君。観光で来てた妹さんとお母さんも一緒です。右はミナガワさん。Minagawa Art Lines額縁製作会社の経営者です。


友人のアレックス。
http://artandprogram.com/
現在NY大学の院生でメディアアートの勉強中。日本語ペラペラ、漢字もOK!

10月の中旬に、前回の記事で紹介しました
フォトグラファー「米原康正」さんの
ニューヨークでの個展をするにあたって、僕も同行しました。
仕事してまいりました。

米原さんが新たに撮りおろしした、
インスタントカメラ“チェキ”の写真を、
合計で約1800枚収める
大中小のサイズのアクリルフレーム(ボックス)を新規で製作。
納期が非常にタイトで、木枠梱包で一括出荷に間に合わず、
品物が出来次第FedEx(国際宅急便)も使い、
それでも製作が間に合わず、
残りは僕自身が手持ちで現地入りしました!

J.F.K空港からひとり大荷物を持って
黄色いタクシーに乗り込み現場まで。
空港からマンハッタンへは、どこであれ一律料金になっている。
おおざっぱだが分かりやすい。

急いでくれとは言って無いのだが、
運転手のお兄さんは少しガタがきた車をレーサーのごとく
攻めのドライビング。
かなり恐かった。
「キミだいぶ飛ばすねー」と、やんわり突付いても「まあね」と、
得意げに笑うだけでこちらの思いを感じてもらえず、
さすがに荷物が気がかりだからと言って
スピードを落として頂きました。

現場は、Barry Friedman Ltd という
ニューヨークの老舗ギャラリーで、
マンハッタンのチェルシー地区のギャラリー街にあります。
この一角は以前は人影もまばらの倉庫街でしたが、
ソーホー地区にあった多くのギャラリーが、
家賃の高騰と、より広いスペースを求めて
10年くらい前から徐々にこの地区へ移ってきたと聞いています。
ソーホー地区も以前(60年〜70年代)は、
もともと工場や倉庫街だったため家賃が安く、
アーティスト達が住居兼アトリエにと集まり、
それに伴ない画廊も沢山増えてアートの発信地でしたが、
今では有名ブランドが軒を連ねる、
観光客で賑わうファッション街へと性格を変えています。


米原さん達は前日に現地入りし、
3階の展示スペースで作業を進め始めていました。
そして僕は到着後いきなり問題が発生していることを
聞かされます。
製作したアクリルフレームは写真を中に収める為、
背面の板が横にスライドして外せるようになっているのですが、
一度外した背板が本体に入らないと言う事なのです。

背板のサイズに対してクリアランス(余白)を
あまり取らなかった事が・・・
それには勿論理由はあるし、
工場でスライドさせ問題ない事を確認もしている。
気温(温度)差によるアクリルの伸縮、
理論上は同じ条件で伸び縮みするので
大丈夫なはずなのだが、構造体になっている本体と、
プレート状の背板とでは微妙に伸縮率が違った
という事が原因だと思う。
手作業用の道具は一通り持って来ている。

全ての品物ではなく、
一番大きなフレームの数台に支障があっただけなので、
背板をナイフで均等に上下0.5mmずつ削り、
更にコグチ面を少し丸く落し、
ミゾとの摩擦抵抗を減らすことで事なきを得ました。
しかし焦りました。クリアランスに男気をだし過ぎたので・・・
次回はもう少し精度に余裕をもたせます。

道具以外にも万が一の事を考え、
NYにいる友人にあらかじめお願いをして、
細かいキズを落すコンパウンドや、
日本からは持ち込むことが出来ない(引火性の強い液体)、
エタノール系の静電防止剤やアクリルの溶剤なども
手配してもらっていた。
その友人は4年前に日本を飛び出し、
現在こっちで職に就きながらアーティスト活動をしている。
おもしろい奴なので次回の記事で紹介したいと思います。

3日後のレセプションに向けて、
ここのギャラリーの作品設置スタッフ、
通訳兼現地コーディネーター、
ロスから米原さんの企画した壁紙と職人さんもやって来て、
作家本人も一緒に和気あいあいと展示作業を進めます。

レセプションの前日からクリアエディションの方々も
現地入りして、日本の関係者が皆そろいました。
この頃には、展示方法のかたちはだいぶ見えて来たので、
後は細かい調整だけです。


Barry Friedman Ltdはギャラリースペースが
3フロアもある大きなギャラリーで、
かなり有名な作家の作品も扱っているようです。
巨匠“横尾忠則”さんのエキシビションも終えたばかり。
ぎりぎり搬出する前の展示作品を見ることができました。
マン・レイの写真など、高額な作品も所蔵してます。

オーナーのバリー・フリードマンさんは、
大柄で顎と口に真っ白な髭を蓄えた紳士です。
到着当日のお昼にギャラリーから少し歩いた所の
洒落たニューヨークレストランへ、
皆をランチに連れてってくれました。
着いたばかりで少し緊張していた僕にも、
時おり話しかけてくれる気さくな人柄でした。


やれる事はやったと言う感じで、レセプション当日を向かえ、
沢山の人が来てくれたら良いなと思うばかり。
僕は裏方ですが、自分が作ったモノを
ニューヨークに住む人達に技術を見てもらえる
チャンスであります。
PM6:00にパーティーはオープンし、
ワインやシャンパンが振る舞われます。
基本的に誰でも入れるし、来る人にとって
アーティスト本人に会えるまたとない機会なのです。
米原さんは写真集を購入してくれた人にサイン入れや、
このギャラリーの顧客への挨拶、撮影会で大忙し。
NY在住の僕の友人達も来てくれて、
レセプションは大盛況でした!

色んな方にいい仕事をしていると褒めていただきました。
一番嬉しかったのは、
NYで30年近く特注額縁を製作している、
友人が勤めてる会社の社長さんが、
「ニューヨークでこれだけの仕事を出来る
アクリル加工業者はいない」と言っていただけた事です。
「労働ビザだそうか?」と、冗談だと思いますが、
日本で食えなくなったら訪ねてみようと思います(笑)

バリーさんにも“amazing !”と労われ、
日本からの関係者さんからも労われ、
とにかく素晴らしい日でした。

この日は飲みましたー。

米原さんという、日本発のアーティストが、
現代アートの先進国でこれだけの展示会を出来る事も、
これを仕掛けたクリアエディションさんもスゴイことです。
このプロジェクトに参加出来た事をとても嬉しく思います。

翌日は関係者みんなで打ち上げをし、
場所を移動しながら真夜中まで弾けました。

みなさま、本当にお疲れ様でした。

任務を終了した後も、僕はもうしばらく
NYで友人の家に居候することにしました。

来月の記事は、その後のNYをお伝えしたいと思います!





俵藤ひでと (1972生)
ICSカレッジオブアーツ卒
1995年 ひょうどう工芸入社
2002年 デリバリーワークス設立
アクリル加工を中心とする特注家具・照明器具・立体物のデザイン製作
オリジナル家具・照明の企画デザイン・製作・販売



#066 2010.08 新しい五月人形
#065 2010.07 アクリルのトランク型ディスプレイ什器
#064 2010.06 展示会のまとめ
#063 2010.05 現代手工業展2010
#062 2010.04 アートとモノ作り
#061 2010.03 アクリル引きモノパーツ / 現代美術VOCA展
#060 2009.12 コレクションショー
#059 2009.10 ショップ什器 / 展示会のお知らせ
#058 2009.08 バーテンダー
#057 2009.07 多摩美素材実習
#056 2009.06 2009年展示会を終えて
#055 2009.05 展示会に向けて2/コラボレーション
#054 2009.04 展示会に向けて−アクリルで本をカタチ作る
#053 2009.03 アクリルの茶杓 / 伝統と現代
#052 2009.02 掛川現代アートプロジェクト/アクリルの棗(なつめ)
#051 2009.01 氷のアクリル
#050 2008.12 NYにて
#049 2008.11 ニューヨークへ
#048 2008.09 裏方にまわる楽しさ
#047 2008.08 2008年展示会を終えて
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#044 2008.05 展示会のテーマ「誰かの為のギフト&トロフィー」
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#036 2007.09 ポリへドロン
#035 2007.08 アクリルの茶杓
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#032 2007.05 仕事とは時間を共有すること/6月の展示会に向けて
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#027 2006.12 多摩美術大学にて
#026 2006.11 趣のあるアクリル 茜色に染める
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