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ホーム > モノ作りの現場から > Delivery Works 俵藤ひでと #050




ハナ車(仮)の映像と、大きさ2m以上ある指のオブジェ



不思議な動物と、人物。



カットソーから見える胸の谷間の様。



友人Hiroshi Shafer
いつもぶっきらぼうな言い方をする奴ですが、ホントは心優しい人間なんです。



BROOKLYN Bushwickにある友人のアトリエ



J.M.Zと呼ばれるマンハッタンとブルックリンを結ぶ電車の駅と高架



友人が勤める会社にお邪魔しました。
木製のフレームを製作する工場です。
NYで一番ほっとする場所でした。



チェルシー地区のギャラリー



伝説の「チェルシー・ホテル」の外観とロビー。



ウイリアムズバーグのインテリアショップ
THE FUTURE PERFECT



ウイリアムズバーグ周辺





仕事を無事に終えた開放感。
めったに海外に出る事も無いのでこの機会に、
そのままここNYに1週間ほど滞在しました。

4年前からNYでアーティスト活動をしている友人
ヒロシ・シェイファーの家に泊めさせてもらいました。
8年前くらい前、僕は小さなギャラリーやカフェなどで
自分の作品の展示をしてた頃があって、
恵比寿のとあるカフェで彼も展示をしていて、
そこで会ったのがきっかけでした。

家具や照明などその頃から僕はプロダクト系でしたが、
彼は硬質粘土で不思議な人や動物を作っていました。
初めて見るその作風と、
自分とは違うベクトルでモノを作る彼の作品に惹かれ、
彼の希望金額にはまったく及びませんでしたが、
売ってもらった事があります(笑)
彼もまた僕の作品を買ってくれた事がありました。

彼の住んでる場所はBROOKLYNの、
Bushwickと言う地域で、そんなに郊外ではありませんが
忙しそうなマンハッタンに比べて少しのんびりした感じ、
と言うか実は結構危険な感じがする場所で・・・
夜に到着したのと、先入観なのですが
ヒスパニッシュ系の人ばかりで白人も見当たらず、
日本人なんて僕ら以外いないもので、ちょっとビビりました。

彼いわく、見た目ほど危険では無いそうです。
家賃も安く、地下鉄でダウンタウンへのアクセスも良いので
最近は移り住んでくる人も増えてるみたい。
しかし、彼の住まいはBushwickの入口で
一般人が住めるギリだそうです。
路上に窓ガラスとカーステの無い車がありました。
この辺りで日本人は彼と隣に住んでる友人(この人も作家)
の2世帯だけだという。

ちょうど訪問した時、彼の展示会が終わったばかりで
搬出するギリギリ前の作品を見る事が出来ました。
ギャラリーも同じBushwickエリアにあります。

相変わらず不思議な動物。
それに加え作風というか表現方法に幅が広くなっていました。
女性なのか?別の生物?胸の谷間にも見える写真や、
モノクロのペインティング、
鼻の穴に取り付けられた小さなプロペラが、
笑うと鼻息でクルクル回るだけの映像。

天井から吊るされたデカイ指は、
人がまたがったり集まって作品の完成に近づく感じ、
彼が作った扮装アイテムをみんなで身に付けて
パフォーマンスした画像がありました。

彼の作品にはユーモアの中に何処か
彼独特の皮肉を感じるのです。
ツンとすましてカッコつけた奴に、
こっそりイタズラをしてクスッと皆を笑わす感じ。
彼の作品に触れる人はみんなとても楽しそうでした。

「どういう思いで作ったの?」と聞いても、
彼から具体的な説明は無い(前からそう)。
どうやら話すのがめんどくさいらしい。
見た人が決めれば良いのだと言う。


仕事の舞台だったチェルシー地区のギャラリーも見て回りました。
絵画、写真、彫刻、様々なジャンルの作品が展示され、
今どんな作品が扱われていて、
現在活躍している作家達の作品を見ることが出来ました。

アートの定義やマーケットの事は良くは分かりませんが、
技術、仕事量、表現力、人生観や思想と言ったバックグランド、
見る人、買う人、扱う人、作家自身、
どこに重きを置くかは自由である。

表現するという瞬発力に近いエネルギーは凄いと感じました。
面白い作品が沢山ありました。
作家の生き様や思想にも価値を見出し、
高額で取り引きされる市場が確立されている、
現代アートの先進国なんだと感じました。


話しは変わりますが、
ギャラリー街から少し歩いて行くと、
ここチェルシー地区には伝説的なホテルがあります。
その名は「チェルシー・ホテル(Chelsea Hotel)」
アパートメントの機能も持った施設で、
ここに住んでる人達もいます。
アンディ・ウォーホールも住んでいたとも言われ、
世界中の芸術家、ミュージシャンや、作家が
好んでこのホテルに宿泊し、また住人になっていたそうです。

セックス・ピストルズのベーシスト、シド・ビシャスが、
恋人ナンシーをこのホテルのバスルームで刺殺し、
その後すぐ彼女を追うようにヘロイン中毒過多で死亡して
「シド&ナンシー」という映画になった話しは有名。
とにかく逸話をあげたらキリがないほどです。
その雰囲気を感じようと、現在もアーティスト達が集まってきます。
いつか泊まってみたいものです。


ちなみに15年前、初めての海外がニューヨークでした。

僕は最初に勤めた会社をわずか1年で、
オーナーに盾突いてクビになったという前科があります(笑)
その後しばらく、お金とヤル気はありませんでしたが、
時間だけはあったので何処かに行きたくなり、
ちょうど先輩がNYに留学していたので1ヶ月ほど
彼のアパートでご厄介になっていました。

その頃のNYマンハッタンはまだ治安が悪く、
行っていけない地域を友人にコンコンと教えられた覚えがあります。
実際アパートの場所もイーストヴィレッジの端っこで、
通りを1本越えれば危険な地域でした。
そんな危険だったところも、今では気の効いた店が並ぶ
東京で言う中目黒・代官山みたいなエリアになり、
当時は足を踏み込めなかったエリアも雰囲気が良くなり、
深夜でも出歩ける安全な都市に変っていました。

一番変ってしまったのは、やはり「ワールドトレードセンター」が
9.11テロにより大勢の犠牲者を出して、
無くなってしまったことでしょう。
そびえ立つその姿はNYの象徴の一つでした。

そして、リーマンブラザースの経営破綻による世界的金融不安。
アメリカ初の黒人大統領誕生となるかの
歴史的な大統領選まっただか中。

激動のNY。

それでもここNYには、行けば何かが起きる、
僕たちに何かを期待させる魅力があります。
だから世界中から色んな人が集まり、
これからも変化し続ける世界の発信地なのでしょう。




アナザーエピソード

友人ヒロシの誕生日に、世話になる御礼も含めて
ハンドミラー(You are so beautiful)をプレゼントしたら
非常に喜んでくれました。
「これ売り込みに行けよ!
オレ知ってるインテリアショップがあるから!」と言うことで、
ブルックリンのウイリアムズバーグという地区で、
洒落た洋服屋やカフェがたくさんある町に行って来ました。
地元の人が行き交いのんびりして、
マンハッタンとは違う雰囲気があるいい場所です。
とても気に入りました。

連れてかれたインテリアショップはヨーロッパを中心に
洗礼されたモノがセレクトされたカッコいい店でした。
(実はNYにはそんなに素敵なインテリアショップはありません。
日本の方がよっぽど気の利いたモノが揃ってます。)

「で、ヒロシ君はこのお店のどなたとお知り合いなのかい?」
「別に誰もいないけど。」
「いやいや、またまた(笑)」
「何か問題あんの?」
「ちょっとマジで?コネ無しのアポ無し?」
「そうだよ、ナニもしかしてびびってんの(笑)?」
「ふざけんなよ!この店の存在だけかよ、知ってるの!」

良く分からないまま、取り合えずスタッフを尋ね、
その日は日曜日で、バイイングマネージャーが留守なので
翌日の月曜日に来てくれと言われた。 
「仕事だから付き合えない」と、ヒロシにバッサリ断られ・・・

と言う事で翌日、ひとりNYで
道場破り的な感じなってしまいました・・・

話しは戻りますが、
今回僕は自分の商品を売り込みにNYに来た訳ではないので、
ポートフォリオなど用意してないのです。
たいした英語力も無く、あるのはノートブックだけ。
いきなり行って相手してくれんのかよ!

かなり緊張しましたが、意外や意外、
真剣に画像を見ながら僕の話を聞いてくれて、
コストの事、取り扱える商品の条件など
1時間くらい話しが出来ました。
バイイングマネージャーが稀に見るいい人だったのか、
僕の作品に興味を持ってくれたのか分かりませんが、
いずれにせよとても貴重な経験が出来ました。
来年に繋げられるよう頑張ります!

友人には素直にありがとうとは言えませんでした。
分かった様な顔をされるのが目に見えていたので。

しかし事実、彼のお陰でNYを楽しく過ごす事が出来ました。
ありがとうよ。
近い将来、彼の個展が日本で見れる日が来たら良いなと思う。

お互い頑張って行こうな。



俵藤ひでと (1972生)
ICSカレッジオブアーツ卒
1995年 ひょうどう工芸入社
2002年 デリバリーワークス設立
アクリル加工を中心とする特注家具・照明器具・立体物のデザイン製作
オリジナル家具・照明の企画デザイン・製作・販売



#066 2010.08 新しい五月人形
#065 2010.07 アクリルのトランク型ディスプレイ什器
#064 2010.06 展示会のまとめ
#063 2010.05 現代手工業展2010
#062 2010.04 アートとモノ作り
#061 2010.03 アクリル引きモノパーツ / 現代美術VOCA展
#060 2009.12 コレクションショー
#059 2009.10 ショップ什器 / 展示会のお知らせ
#058 2009.08 バーテンダー
#057 2009.07 多摩美素材実習
#056 2009.06 2009年展示会を終えて
#055 2009.05 展示会に向けて2/コラボレーション
#054 2009.04 展示会に向けて−アクリルで本をカタチ作る
#053 2009.03 アクリルの茶杓 / 伝統と現代
#052 2009.02 掛川現代アートプロジェクト/アクリルの棗(なつめ)
#051 2009.01 氷のアクリル
#050 2008.12 NYにて
#049 2008.11 ニューヨークへ
#048 2008.09 裏方にまわる楽しさ
#047 2008.08 2008年展示会を終えて
#046 2008.07 想い込めて。仲間の協力を得て。
#045 2008.06 キスの練習 くちびるの習作
#044 2008.05 展示会のテーマ「誰かの為のギフト&トロフィー」
#043 2008.04 手を離れ商品化へ!
#042 2008.03 IID世田谷ものづくり学校でワークショップ
#041 2008.02 アクリルのシャンデリアの行方
#040 2008.01 ご挨拶
#039 2007.12 実習講義 素材とたわむれる
#038 2007.11 デザインにユーモアを
#037 2007.10 ある仕事の風景
#036 2007.09 ポリへドロン
#035 2007.08 アクリルの茶杓
#034 2007.07 バングルのデザイン - メイド イン ジャパン -
#033 2007.06 展示会、真っ最中
#032 2007.05 仕事とは時間を共有すること/6月の展示会に向けて
#031 2007.04 モノを作り表現する女の子たち
#030 2007.03 (続)プラスチック ってガンバってるかも
#029 2007.02 プラスチック って言っても様々
#028 2007.01 マイナーチェンジを繰り返す
#027 2006.12 多摩美術大学にて
#026 2006.11 趣のあるアクリル 茜色に染める
#025 2006.10 端折ってはいけないコト そこに愛はあるのかい?
#024 2006.09 FRPかぶき野郎
#023 2006.08 アクリルをシェイプする
#022 2006.07 展示会を終えて
#021 2006.06 展示会に向けて
#020 2006.05 友人の店を仲間達でつくる
#019 2006.04 ダイソン。それは格好良いだけじゃない掃除機。
#018 2006.03 絵のある部屋
#017 2006.02 アクリルの表現力
#016 2006.01 ロゴデザインをする
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#012 2005.09 Delivery Works 南部健太郎
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#004 2005.01 島谷製作所
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#002 2004.11 savor 末松貴久・小橋佐和美
#001 2004.10 展示会