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ホーム > モノ作りの現場から > Delivery Works 俵藤ひでと #053




銘:Hakuen(白煙)






銘:Akanegumo(茜雲)






銘:Mattyanigoshi(抹茶濁し)





初めてアクリルで茶杓を作ったのは一年半前。

それからも作って欲しいと言う声があり、
現在も時々製作をしている。

最初の頃はアクリル素材を茶道具に使う事に、
実は少し抵抗を感じた時もあった。
茶杓として使われるのは、とくに竹で作られた物が多く、
節や、筋の目、斑といった自然に出来た形状や
模様を活かす所に美を見出すとされているから。

しかし伝統に固執し、
写しを繰り返すだけでは面白くなって行かない。
僕のまわりにいる茶の湯を嗜むの若い人達の感覚は
既に変ってきていると感じている。

先人達が確立した世界観に敬意を払い、
その本質を理解しようとする気持ちが大事であり、
そこに今を生きている僕たちの感性が
重ねられたら良いのではないか。

いにしえの茶人達も
目に見える意匠性と、
目には見えない思想や哲学との接点を
試行錯誤してきたはずだから。

僕が職人としてアクリルと言う素材と向き合い、
この素材でしか表現できない事を考え、
僕が出来ること、思うことを形にして
理解してくれる人がいれば作り続けようと思っている。


画像の品物は近々僕の手を離れて行く物なので
記録に残し、皆さんにもお見せしたいと思います。


形状は千利休が竹の茶杓を確立する以前に使われていた、
唐の薬匙を手本にしている。(今も茶会で使われている)
象牙や、べっ甲で作られてる物がある。

手法はアクリルを涙型に糸鋸で切り、
熱で曲げて全体像を作り、
その後はナイフ、ヤスリ、ハンドリューターで削り出していく。
図面は無い。
触りながら感覚で作るので、厳密には同じ物は作れない。


黒と白(銘:Hakuen)、赤の茶杓(Akanegumo)は、
特注で「練り物」と呼ばれるマーブル柄の素材で作った。
意図的に柄を作る事が出来ない、
ある程度偶然性にまかせ景色の良いところを使用している。

金の茶杓(銘:Mattyanigoshi)は
透明アクリルの裏側から塗装し、
色を重ね最初から抹茶が付いた様なグラデーションを施した。
表面に見せれるのは、透明な素材ならではの表現方法。

時間をかけ何度も細部の仕上がりを見ながら作り上げていく。

茶道具とは、茶会を行う亭主と
招かれる客を結びつけるポイントの役割を持つ。
物言わぬ茶道具には、
亭主が客に対する想いが込められているのだ。
心して作らないと、亭主が恥をかく事になりかねない。

だからこそ、茶道具を作る人間は亭主と同じ気持ちで
製作に努めなくてはならないと思っている。

作り手にはそこしかよりどころは無いのだから。



俵藤ひでと (1972生)
ICSカレッジオブアーツ卒
1995年 ひょうどう工芸入社
2002年 デリバリーワークス設立
アクリル加工を中心とする特注家具・照明器具・立体物のデザイン製作
オリジナル家具・照明の企画デザイン・製作・販売



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