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ホーム > モノ作りの現場から > EXIT METAL WORK SUPPLY 清水薫 #002



清水 この度は、海の物とも山の物とも分からない
私達を快く受け入れてくださって、
どうもありがとうございました。

吉田さん とんでもないです(笑)。
長い付き合いじゃないですか(笑)。

清水 あっ、これ、今日できた名刺なんですけど。。

吉田さん あっ、党首だ(笑)。
これって本当に選挙とかで
現代手工業乃党として出馬するって事か・・・。

清水 いやいやいや、それは考えてないです(笑)。
ただその、文字通り、私たちはアーティストでも、
工芸作家でも、単なるデザイナーの集まりでもなく、
あくまでも現代の職人さんの集まりってことで・・・。
でね、この展示会、実際ご覧になって、
どんな感じを受けました?

吉田さん そうですね。まず、みんな本当にバラバラ(笑)。

清水 (笑)ハイ、見事にバラバラですよね(笑)。

吉田さん ねぇ本当に(笑)。ケンカしてるんじゃない?(笑)。

清水 (笑)


展示会の様子
(タイムアンドスタイルガレリアにて)

吉田さん ね、誰も、何も、同調するつもりがないって感じ。

清水 まぁ、それは今回私が望んだことでも
あるんですけど・・・。
まず最初は自分の名刺を出すつもりでね、
自分はこういうもんですよって、
そんな感じでやって下さいって、
みんなにお願いしたんですよ。

吉田さん あと2番目に思ったのは、
これらは結構 奥が深いなと。
例えば、こう、一人一人の作られた物の
“作り”とかね。
まぁこれが、デザインと言っていいのか
分からないですけど。
それは存在感だったりとか、
それぞれの職人さんが好きで作ったんだろうなと。
それがゆえにこうなったというか。
まずクライアントありきでは、
ここまで自分を出し切れないじゃないですか。
ただ今回はみんなが自分で作りたくて
作ったものだし、
今までのいろいろな仕事の経験の
蓄積でもあるわけですよね。
そういう意味ではいろんな物が詰まっていて
とても分かりやすいです。
みんなの個性・・・キャラクターが。

清水 これらを見ていて思うんですけど、
ここでやっている人たちは、ヨーロッパ、アメリカを
含めたファニチャーデザインの流れというか、
流行りというか、いわゆるそういうものを
まったく無視していますよね(笑)。

吉田さん (笑)そうですよねぇ(笑)。

清水 っていうか、だれもそういう雑誌
読んでないんじゃないのかなぁ
とさえ思うんですけど。

吉田さん (笑)

清水 そういう本を見ながら、
“今はこれ流行っているからこれ作ろう”
みたいな考えはないんじゃないかなぁ(笑)。

吉田さん 何もないですねぇ(笑)。
っていうかもう見事に世の中の流れを
無視してますよねぇ(笑)。

清水 (笑)いやいやいや、そこまでは・・・(笑)。

吉田さん 僕、今、“流れ”っていうものをすごく感じていて、
やっぱりそれをどうしても意識してしまう
じゃないですか。
それってつまり、本当にそれでいいのかなって。
今はそれでいいけど、5年後どうなの?って。
それで5年前を振り返ってみると、
結構恥ずかしかったりするじゃないですか(笑)。

清水 僕、つい先日、
EXITのホームページを立ち上げまして、
ここ8年〜9年分の家具の展示会の写真を
まとめてたんですよ。
そうなんですよねぇ。
あれって結構つらいですよねぇ(笑)。

吉田さん ある意味、若かった時の方が
大人だったのかもしれませんね。
どんどん年をとってくると経験が増えてきて、
どんどんわがままになっていって、
またある意味、生きるのが上手くなっていって・・・。

清水 こなれてくるって事ですか?

吉田さん 多分、そこで分かれてくると思うんですよ。
こなれて流れに乗っていく人々と、
流れに乗らないで大変だけど我が道をゆく人々と・・・。
多分ここにいる人々は後者の方だと思うんですよ(笑)。

清水 (笑)いいか悪いかは別としてね(笑)。

吉田さん (笑)いいか悪いかは別なんですけどねぇ(笑)。
だからこれがね、自分達で作っている人々
だからこそできることだと思うんですよ。
つまり“突き詰めてゆくこと”というか、
デザイナーやプロデューサーはある程度の
ところまでは行けるんだけど、
そこから先は行きにくいんですよ。
だから、本当のスキルになかなかなりづらいんだよ。
だからね、手を変え品を変え、
やっていかなきゃいけない。
けど、皆さんはもう何も言わせない技術と
今まで続けてきた何かがね・・・出てるよね。


清水 たとえばこれ、僕が作ったテーブルなんですけどね、
見た通り、特にデザインしてないんですよ(笑)。
角パイプの表面の加工に、
いいテクスチャーを出すことに挑んだので、
形は何でもよかったんですよ。
これはまぁ、、 あの テーブルを
参考にさせていただいたのですが、
今回僕が挑戦してみたかったのは、
角パイプで普通に作ったら、
別に普通のテーブルが、
僕がその角パイプを焼いたり、
サンディングしたりして表面を傷付けていったら、
そのテーブルは、ちょっとはカッコよくなるのかなって(笑)。
その、傷付けてゆくフィーリングみたいな部分で
作ってみたかったんですよ。
けど、それって「 いわゆるデザイン」 じゃないと思うんですけど・・・。

吉田さん そうですよね、そう思いますよ。
突き詰めてゆけば、最後には“作り”に
行き着くと思うんですよ。
要するに、もう形は出尽くしてしまっているし・・・。
まぁ、でもね、それでも新しい存在感を探して
デザインという行為は永遠にしてゆくんでしょうけど。
デザインって何が大事なのって言われると、
最近分かりづらくなってきてるよね。

清水 龍太郎さんは今まで長い間
いろいろとやっているじゃないですか。
日本人、外国人を問わず、
いろいろなデザイナーをプロデュースしてきて・・・。
ご自身もデザイナーでもあるわけですし、
世界中でいろいろ展示会をやってきたわけだし、
販売店もギャラリーも持っていて、
自分で運営しているし。
そうやって、ずっとやってきて、
ずっと業界のシーンを見てきて、
その、今言われたフォルムとしての
“デザインの出尽くしちゃった感”(笑)っていうか、
なんか、そういうのあるじゃないですか。
僕は龍太郎さんとはまったく違った角度から
業界を14年くらい見てるんですが、
つまり、いろいろなデザイナーの“モデラー”として、
いろいろな新商品の開発に
携わってきたんですけどね。
それでも、やっぱりね、“出尽くした”って
言いたくはないんですけどね・・・
言いたくはないんですけどね・・・
素で“そうかもなー”って思う時あるんですよね。

吉田さん 形として“個体”のデザインとしては
出尽くしていると思うんですよ。
じゃあ、デザイナーは何を見せるかっていえば、
“生き様”を見せるっていうか・・・。
もうそれが大事だと思うんですよ。

清水 おっしゃることはよく分かります。

吉田さん そいつが、そいつのデザインを通して
何がしたいのか・・・。
人の役に立ちたいのか、お金儲けがしたいのか、
自分のエゴをぶちまけたいのか・・・。
まぁ、それは時と場合によっては、
凶器にもなり得るわけだし、
世のためになったりすることもあるし。
つまり、そいつが今まで
どういう生き方をしてきたのか、
そして、これからどういう生き方をしていきたいのか、
それがこの形になったってことでしょうね。

清水 生き様ですよね。

吉田さん まぁ、そういう時代になってきたのかなぁって。
いろんな事が壊れて・・・ね・・・。

清水 その都度、いろんな物が次から次へと出てきて、
そんな中でデザインに突きつけられているものが
いろいろあると思うんですよ。
その回答の一つが現代手工業だと思っています。
だから僕は、自分で作るし、
これからも作っていきたいし、
そんな僕が今まで見たこともない造形美なんて
ものを生み出せないやっ(笑)て思うんですけど。
けどね・・・形はまぁ普通で、
まぁちょっと使いやすいとかね、ちょっと丈夫とかね、
その程度なのかよっ(笑)て感じなんですけど。
けどね、伝統工芸的なノリではなく、
モダンなハンドメイドでちょっとだけ
カッコイイ物を作っていけたらなぁって。
何か先に新しい世界というか、
新しいジャンルというか、
何かそんなものがあるんじゃないかって。

吉田さん 僕は皆さんを見ていて、昔あった
“カッコイイ職人”像を取り戻そうとしているのかなぁ
って気がしているんですよ。

清水 取り戻せるものなら、
僕らの代で取り戻してみたいですよ。

吉田さん この20〜30年間、職人というよりは
“こなしてきた会社”が大きくなってきたよね。
その間にいわゆる日本のカッコイイ職人の存在が
削られていったんだよね。
皆さん技とかってまだ若いから
これからもっと伸びると思うんですよ。
これからの方向性として、
職人としてカッコイイオヤジになって・・・ってね。
一見バカなポジションを守りつつ(笑)。
けど僕から見ればみんな自由人なんだよ。
だからあえて言いいたいのは、
技術を突き詰めて、さらに向上してゆく
ってことだよね。

清水 僕達は大体20歳くらいで作り始めて、
今、30過ぎくらいです。
作り手としてのキャリアはみんな10年くらいなんです。
職人を名乗る以上、技術の向上というのは、
避けては通れません。
どんどんクオリティは上げてゆきたいと思ってますし、
“技術に限りなし”と思っています。
そう意味も含めてこれからも
努力してゆきたいと思います。
今回はどうもありがとうございました。


吉田 龍太郎さん
1964 宮崎生まれ
1990 ドイツ ベルリンに "PRESTIGE STYLE GMBH"設立
1992 有限会社プレステージジャパン設立
ドイツ / STANGE DESIGN OHGの日本でのライセンス事業開始
1995 株式会社プレステージジャパンに社名変更
1997 TIME & STYLE HOME(目黒区八雲)オープン
1999 イタリア ミラノSalone Satellite / H Design出展
ニューヨーク ICFF / STYLEWISE出展
2000 ICFF / STYLEWISE出展
TIME & STYLE GALLERIA(南青山)オープン
2001 TIME & STYLE WESTEND(福岡)オープン
2003 TIME & STYLE RESIDENCE(二子玉川)オープン

清水薫 (1970生)
金属工房を経て、株式会社IDEE入社、IDEE WORKSHOPにて商品開発と製作を行う。
96年、EXIT METAL WORK SUPPLYを設立。
金属で物を作りながら考える事を中心に、家具・什器のデザイン、自社工房での製造、及び企業に対してのプロダクトデザインやマテリアルの開発等を行う。
2007年より既製品什器の製造・販売を開始。
メーカーを目指してみる。メーカーカタログサイト



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#068 2010.08 上海見聞録
#067 2010.07 香港見聞録
#066 2010.06 現代手工業展2010
#065 2010.05 展示会の準備 その2
#064 2010.04 展示会の準備 その1
#063 2010.03 展示会について
#062 2010.02 NPOについて
#061 2010.01 新年のご挨拶
#060 2009.12 星のや京都
#059 2009.11 先人達に学ぶ
#058 2009.10 ビルの壁面のアート
#057 2009.09 rooms 19
#056 2009.08 日本のモノ作りについて思うことを少々
#055 2009.07 ハイテクなモノ作り
#054 2009.06 部屋を彩るもの ホームアクセサリー展
#053 2009.03 ホームアクセサリーを作る その1
#052 2009.02 EXIT この春の開発
#051 2009.01 両テは強えのか!2009
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