清水 |
いゃーすごい迫力のある原木がいっぱいありましたねぇ。
いったいどのくらいの在庫持ってるんですか?
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安藤さん |
僕は正確には把握してないですけど
数億円とも十数億円とも言われています。
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清水 |
うわーっ。
で、種類もたくさんありましたしね。
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安藤さん |
そうですね、いろんな所からバイイングしてきますよ。
国内はもちろん、東欧からだったり、アフリカ、カナダ、
アメリカ、南アメリカ、アジア、イギリスからもね。
でさっきの所 (蒲郡の営業所) で天日にあてて干してるの。
ものにもよるけど5年〜10年、
暴れるだけ自由に暴れさせてね、
でそれから製材して、
今度は倉庫で2年〜3年乾かして、
それから商品になります。
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清水 |
僕は 鉄を主に使っているから
そのタイムスパンがピンとこないなぁ。
自然相手なんですね、、、
いやっ、鉄だって炉に入れる前の原材料は
大地から掘った自然のモノだんけど、
角パイプになるまで10年はかからないよ(笑)。
ってことは10年後に何が売れるかを考えて
バイイングしてるの?
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安藤さん |
10年後に何が売れるかは分からないよ(笑)。
だから原木のバイヤーは難しいね。
30年〜40年のキャリアがいるんだ。
製材の方もキャリアが大事でね、製材のしかたというか
その原木の切り方次第で価値が何倍も変わってしまうから。
そういう訳でうちの会社は老人力を多様してます。(笑)すごいんですょ。
岡崎製材は創業 大正6年の会社でね、
昔からケヤキとか屋久杉とかの銘木を
寺や神社に出してるから、、、
製材と言っても本当、切れば良いってわけじゃないし、、、。
で、そっちの世界って キビシイでしょ。
大きくて良い所だけを使うから、、、
フシがあっちゃいけない、ワレがあっちゃいけないでしょ。
けど、見方を変えればさ、
それだって美しいすばらしい木材だし、
有効利用はいくらでもできるばずだよね。
ジョージ ナカシマだってフシのある板を
あんなにカッコ良く使ってるし、、、。
で、うちの社長の八田さんが頭やわらかい人で
プロのための木材問屋やってるのに
それとは別にホームセンター作って
一般の方のためにいろんな木材を提供したり、
家具屋やったり、外国から建具や建材を輸入して販売したり、他もまだいろいろやってるよ。
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清水 |
普通、木材問屋というのはある意味わりと閉鎖的で
決められた販売ル−トの範囲の中で
ほぼ決まったプロの方だけを相手に商売してゆくもんですよね?
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安藤さん |
うん、そうなんだけどね、
うちは○急ハンズさんにも卸してますよ。
そういう一般ユーザーさんとのお付合いが
スッゴく勉強になるんですよ。
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清水 |
そういう風に会社が進化していって、、、
だから某有名中華デザインレストランチェーンと
一緒に良いお仕事ができるわけなんですね。
守備範囲が広いというか懐が深いというか
スゴイ材木屋ですね。
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安藤さん |
うちの社長が言うんですょ、
日本一アカデミックな材木屋を目指そうって、、、。
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清水 |
カッコいいなぁ それっ!
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安藤さん |
たとえばね、材木扱っている
プロの人達とのやり取りの中での質問ってね、
実は割と決まってるんですょ、
プロであるがゆえにね。
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清水 |
でしょうね、なんか分かる気がするよ。
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安藤さん |
けど、一般の方を対象にというか、、、
ほら、プロとして当たり前だと思っている事が
ぜんぜん当たり前じゃないから
すごい根本的な事っていうか、
ある意味とてもアカデミックな質問されるんだ。
普通の材木屋だつたらそんなもんつべこべ言うな
とか言って答えない、というか答えられない(笑)。
だけどそれにキチンと答えられるようになりたい。
それには僕たちももっと勉強しなきゃ、、、
もっといろんな角度からもね。
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清水 |
そういう一般の方の素朴な疑問を流さないで
立ち止まって考えてゆくってことって
大変だけど大事だよね。
昔気質にさ「てゃんでぃ、そんなモン知るかーっ! 」ていうのも(笑)、
選択肢としてはありと言えばありだとは思うんですけどね。
時は常に動いていて
とある流れに参加して来る人々も、
相手をすべき人々も 流動的で 、、、
で、その流れを把握しているというか対応してゆくというか、、、。
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安藤さん |
そうね、風上だけじゃなく 風下だけでもなく
幅広くいろんなポジションに居たいよね。
うちは そういう会社なんですよ。
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清水 |
フシのないムクのヒノキのカウンター天板も素晴らしいけど、
ラフに割れててフシもあって焦げてるカウンターも
またカッコいいですからね。
両方対応できるならそれにこした事は無いよね。
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安藤さん |
岡崎製材は歴史があるからこそ
そういう事ができるんだろうなぁと思いますね。
けど僕たちは、まだまだお客さんに対して
材木の事を十分に説明できてないと思います。
何々ってゆう木がほしいって言われて
今まではその材木しか出してなかった。
お客さんはたまたま他の材木を知らなくて
本に出てるその木を選んで
その名前を口にしているんじゃないかなぁ。
実は近いテイストの他の材木はいっぱいあってね、
それならもっと寸法が大きいのがあったり、
もっと強度があったり、もっと安かったりするんですよ。
そんな事も含めてね、いろいろとこちらから
提案してゆけるようになりたいと思ってるんですよ。
本来 材木屋は そうあるべきなんじゃないかと、、、。
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清水 |
製造業はもっとモノを言うべきだと思うんですよ。
何百年か前までは
作る人が形を考えていた事が普通だったんですから。
そこに まっとうな意見があると思ってるよ。
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安藤さん |
その材料なりの適切な使い方って言うのは、
やっぱり木の国の経験値ってものがしっかりとね、
あるものなんですよ。
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