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ホーム > モノ作りの現場から > EXIT METAL WORK SUPPLY 清水薫 #013



野崎さんは アルミの鋳物を中心としたデザインエンジニアです。
おじいさんが鉄の鋳物工場を、伯父さんがアルミの鋳物工場を経営している中、野崎さんはその工場に出入りしながら自分のプロダクトがハイクオリティーでかつローコストに出来上がるためにデザインの形状からそのための製造方法、工程、 最終仕上、設置法のすべてをトータルに管理しています。
そんな事ができるのも金属の鋳造に対しての知識と経験があるというのもそうですが、他のマテリアルの製造法やその地域特性を分かっていて、なおかつ本人がデザイナーでもあるからなのでしょう。
今回はそんな野崎さんにお話を伺いました。



屋外用ベンチ(金沢21世紀美術館)
photo©oceanbeetle
清水 これは すごいアルミのプロダクトですね。

野崎さん これは金沢21世紀美術館のための
屋外用ベンチとスツールです。
アルミの鋳物で作りました。

清水 重そうですね、このベンチ。

野崎さん 120kgです。

清水 そうですよね、ワイド2600ですもんね。




屋外用スツール(金沢21世紀美術館)
photo©oceanbeetle

野崎さん けど 平均肉厚は10mm以下ですよ。
こっちの丸いスツールは平均肉厚8mmです。

清水 ひぇー。
このスケールの割にはズイブンと薄いんですね。

野崎さん それで鉄やステンレスの1/3の重量のアルミですからね。
で、溶接なしで一体モノで・・・、
7Aのアルミを使用しているので
まずサビないですね・・・ずーっと。



photo©oceanbeetle




アルミを溶解しているところ



ベンチ(前出)の型枠
photo©oceanbeetle




納品前のベンチと野崎 龍一郎さん
photo©oceanbeetle




ベンチを研磨しているところ。
photo©oceanbeetle




スツール(前出)の中子取
photo©oceanbeetle




工場の内観




グラビティー。
砂型とは違うやり方です




砂型を成形している様子


清水 こんなにデカいアルミの鋳物を砂型でやったんですか?
砂型の砂って・・・こう・・・型を載せる時に
ポロッといっちゃったりしないんですか(笑)。

野崎さん そりゃーダメですね(笑)。
やり方は3つあって、まず一番基本なのが生砂って言って、
砂と水分だけで固めてる方法。
でも砂っていっても粘り気のある砂だから
ドンピシャの水分を入れると
指紋まで出ちゃうくらい精密な砂なんですよ。

清水 へーっ。

野崎さん で、融けた熱いアルミ入れるでしょ、
そうすると熱で砂型の水分が蒸発するんですよ。
そうするとまたサラサラの砂に戻って、
で、水分をジョウロでかけて調整して、で、
また翌日使うんですよ。地球に優しいでしょ。

清水 スバラシイですね。

野崎さん でもこのやり方はあまり大きいモノには向いてなくて、、、
壊れちゃうから。
そういう時にはレジンっていう薬品を使うんですよ。
それは自硬性っていって
一定の時間が経つと固まっちゃうんです。
その10分くらいの間にこうパタパタパタパタ−って
こめてこめて、こうやってガツガツ穴をあけて、
で、固まったら かぶせてアルミ湯流して入れて、、、
その方法でこのベンチを作りました。

清水 そーなんですかー。

野崎さん で、あともう一つは、ガスで砂を固める方法があります。
砂に、元々ガスをかけると固まる薬をまぜておいて、
それから型を作って ガスをあてて固めてゆくんですね。

清水 その3つの方法で出来に違いはないんですか?

野崎さん 生の砂は出来た面が、その砂目がキレイ。
だからミガキが楽だし、家具のパーツとか
そういうのに向いてる。
で、他の2つは表面がザックザクなんですが、
まー後でガンガン仕上げてゆくって感じですね。

清水 パワフルですね。

野崎さん これは 妹島(和世)さんが言ってたんだけどね、
アルミ鋳造で一体モノでこれだけのボリュームで
成立しているモノはイタリアにもスペインにもない、
世界初だろうって。

清水 まずワイド2600のスケールのモノを
鋳物でやろうって事がありえないですよ(笑)。

野崎さん 5x10 尺の板曲げて、溶接して
って話なんでしょうけどね、普通は。
けど、彼女はアルミの鋳物にこだわったんだよね。

清水 アルミの鋳物って独特の表情がありますからね。
この仕事は野崎さんじゃなきゃ出来なかったですよね。
つまり、普通の鋳物工場に行ってワイド2600のベンチだとか
こんな三次元の不定形アールの鋳物だって、、、。
なんとかデザインダウンさせないで、予算内で、納期守って、
カッコイイ物作るんだっていうチャレンジというか
そういう志を持ったマニュファクチャーというか、、、。
そういうのがないとここまでのモノは出てこないでしょ。

野崎さん 鋳造ってね、まずは型をおこさなきゃいけないんですよ。
で、この丸いスツールの方なんですが、この型を
普通は木か樹脂か金属で作るわけです。
で、まぁこのタネ作るだけで50万かな、
上型、下型で 一式100万かなってな感じなんですよ、型だけでね。
けど ボクは 鋳物の型なんて
実は何だっていいの知ってるの。
型さえ取れればね、発泡スチロ−ルだっていいんですよ。
で、ぜんぜん業界が違うんですが
三次元で精密カットする所があって、
まー、そこは飛行機の模型を作っている会社で、
でね、発泡スチロール削れますかって
聞いたら案の定削れるって言うんですよ。
やっぱなーと思って、、、。
そこに図面出して、で スゴいのが
たった5日でそれがカットされて送られて来て、
しかもコストは木型で作る時の
十分の一以下だったんですよ。
で、その後ボクはそのカットされた発泡スチロールの上に
エナメルの塗料を10回ぐらい塗って削って、塗って 削ってして、
表面を硬くしてこの型にしたんですよ。

清水 うわぁースゴい。まさにデザインエンジニアですね。
他の素材、他の業界の製造業の事って
本当に目からウロコってくらい勉強になりますよね。

野崎さん 職人を長くやって腕に自信があるおじさんも
もちろん尊敬してます。けど
「40年 コレやってるオレが言う、そんなの絶対できない。」
って事が、3軒先の工場で 出来たりして(笑)。
けど、しょうがないのかも・・・
結構みなさん 年だから・・・。
鋳物屋の平均年齢は 60代なんですよ。

清水 ・・・本当ですか
・・・普通、定年退職の年っていったら・・・えっ!
つまり、このまま後 5年とか10年経ったら
鋳物業界が丸ごと・・・リタイアですか?

野崎さん つまりこの30年間、新しい人材が
ほとんど入って来てないし、
その間、鋳物屋自体の数が
600社から100社近くまでに減っているわけです。

清水 600から100? ・・・? マジですか?

野崎さん だから製造方法としては
特殊というかマイノリティーというか・・・。
ホント、ボクなんて36歳でピチピチですよ(笑)。

清水 若っ! ガンバってくださいね。


オーシャンビートル 有限会社
所在地 埼玉県さいたま市緑区宮本2-10-37
業務内容 アルミ製品の鋳造・加工
TEL 048-810-5311
FAX 048-810-5312
URL http://oak.zero.ad.jp/~zaf86778/
サガシモノ オーシャンビートル(有)

清水薫 (1970生)
金属工房を経て、株式会社IDEE入社、IDEE WORKSHOPにて商品開発と製作を行う。
96年、EXIT METAL WORK SUPPLYを設立。
金属で物を作りながら考える事を中心に、家具・什器のデザイン、自社工房での製造、及び企業に対してのプロダクトデザインやマテリアルの開発等を行う。
2007年より既製品什器の製造・販売を開始。
メーカーを目指してみる。メーカーカタログサイト



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