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ホーム > モノ作りの現場から > EXIT METAL WORK SUPPLY 清水薫 #029



川端ネジ製作所の川端さん。53歳のちょいワルオヤジ。

最近、ブティックをつくる仕事をしていると、オーナーさんやデザイナーの方が
どっかから見つけてきた素敵なアンティークの物を見せてくれて、
「これも店に置くけど、こんな感じでつくってくれない?他の什器」って頼まれることがあります。
ノスタルジーを感じさせる様々なパーツを見ていて僕に作れるパーツと作れないパーツがありますが、
作れないパーツの最たるものは、ネジです。
あの古びた感じのマイナスのネジってなんであんなにかっこいいんでしょうね。
バッテリードライバーが普及したら姿を消してしまったマイナスのネジ。
マイナスのドライバーで当時の職人さんが手で一ヶ一ヶ締めてたのかと思うと
「それって超クールだよ、、、」と思ってしまう私です。
みなさんはデザインをする時、作るものに対してネジを隠そうとしますか?
もちろん、ケースバイケースだと思いますが、では、ネジを見せようとする場合、どんなネジを使いますか?
それはどんなイメージですか?
そのイメージのネジがホームセンターや東急ハンズに無かったらどうしますか?
東大阪に小ロットからでも特注のネジを製作して下さる方がいます。
川端ネジ製作所の川端さんです。
ミシンなどの工業用ネジを製作するかたわら、
自らもネジをデザイン・製作し、「アートネジ」として販売している方です。
今回は、そんな川端さんにお話を伺いました。


工業用のネジ各種


ストーンカラー・大理石カラーのネジ



ステンレス製の装飾ネジ各種



鉄製の装飾ネジ各種



いろいろな種類のネジ頭



いろいろな色にワンポイントが付いたナット



機械に材料をセットしている川端さん



ネジが様々な工程を経て出来上がっていく様子


出来立ての工業用ネジです


小型の旋盤


ネジ切りの機械


ナットを製作する機械


ネジやナットの精度に等級があるって知ってましたか?
ホームセンター等で販売されているものは3級で、この写真のナットは2級です。


つまようじより細いネジ


川端さん 僕は、12歳、小学校6年生の時から、
家業のネジ屋をアルバイトでやってます。
その時は、バスに乗って工場に行って、
帰りは親父の車に乗って帰ってきたり、、
楽しかったですよ。

残業したりした時は、近所のうどん屋さんから出前とって、
職人さんと一緒に食べてね、ものすごく楽しかった。
仕事は出来ませんよ(笑)。
簡単な軽作業があったから、、、
機械が回ってる中でね。
そんで自分の中で1時間に何個出来るかとか、
自分でシミュレーションとかしてた、、、

そんなお手伝いを始めるもっと前のことやけど、
親父が材料の切れ端とか、工場から家に
持って帰ってきたりして、
それが、ネジの形状はしてるけど、
まだネジになってないようなね、
ビニール袋に入れて持って帰ってきてね、、、
すごい興味があった。
「こんなん作ってんのか」ってね。
自分の中で気持ちが高まって嬉しかったんだよね。

それから、工業高校を卒業して、
またこの仕事に入りました。
19から25まで親父にものすごい鍛えられました。
それで、ネジ作る技術は身に付きました。
そやけど、25過ぎてからね、
だんだんネジ屋が嫌になってきたのね、、、。
毎日毎日同じことの繰り返しで、、、
「なんかないかなぁ」って思い始めたんだけど、
何も無い(笑)。
作る技術は一人前になったけど、
このアイディアを何かしよう、というのは、
ぜんぜん思いつかなかった。
作ることしかやってこなかったから。
それでネジ屋が嫌になってしもうた、、、
恥ずかしい話やけど、、、

「やる気が無いんならやめちまえっ!」ってね、
親父に殴られたりしてね、他の職人さんの前で、、、
けど、僕にはやめる勇気が無かった、、、
両親がこれで働く姿を見て育ちましたからね。

で、30過ぎて親父が大病をしましてね、、、
僕が先頭に立ってやらざるを得ない状況に
追い込まれた、、、恥ずかしい話ですよ、
30過ぎてからでっせ(笑)。
ほんで、一生懸命にね、生まれて初めて
プレッシャーを感じながらネジを作ったんですよ。
それまでそんなの感じたこと無かったんですよ。
親父や職人さんから言われたことだけ
やっていればよかったんだから、、、
給料ももらえるんだから、、、。

けど、親父入院しちゃったし、
俺が怠けたら売り上げ落ちる、
職人さんに給料は払えない、、、
プレッシャーの中やりましたわ。

ほんで、一生懸命することによって、
「あ、こんだけ仕事って楽しいんだ」ってこと
生まれてはじめて気づきましたわ。
1年間、売り上げ落とさんと頑張ったことによって、
自分に自信になったこと、
一生懸命仕事をすると気持ちええなぁ、
ってこと初めて分かりました。

そこからですね、
若い時から「なんかねえかなぁ」って思ってたんだけど、
そんなことがあるまでは近場に目が行かなかったんだね。
1年そんな感じやったらね、
たまたま僕の知り合いにカラーコーティングのメーカー
に勤めている人間がおってね、
その工場にちょこちょこ遊びに行ってましたん。
「あ、これは」と思ってね、
これはおもしろい塗りもんやなぁって、、、
ネジの頭にこの模様入れたら、、、
そっからですね、今まで世の中工業用ネジばっかりやん、
装飾ネジゆうたって、せいぜいステンレスとか、、
まぁ金メッキしてるとかね、、
それくらいしか無かった。

32くらいの時や、色も付けよう、
じゃあ形状も変えてったらおもしろんもん
出来るんちゃうかなってね。
そっから工業ネジ作りながら、
自分は図面とかデザインの勉強なんて
全くしたこと無いからもう自己流で絵描いてきてね(笑)、
デッサン描いてそれを横に
旋盤回して形を作っていった。
面白い形にしたりしてね、、、。

それからたまたまね、ポパイって雑誌にね、
1990年だね、あらゆるデザインを対象にした
コンテストがあったんですよ。
で、僕応募してね、全国2万何千点のなかから
3位になったんですよ。
それが世に出るきっかけだったね。

ネジと一緒に「ネジの思い」っていう手紙を
提出したんですよ。
自分の思いをネジの思いとして、
どーっと書いたんですよ。
その乱筆の手紙とネジを、、、ってあの、
今みたいにまだあまりかっこよくなってない
まだ工業用に近い状態だったですよ、
で、アーティストの日比野克彦さんが
審査員のなかにおってね、
このネジを気に入ってくれたんですよ。

けど、ネジは主張したらあかん、目立ったらあかん、
っていう審査員もおったらしいんですわ。
けど最後にはこれからのネジは
こうゆうネジがあってもいいんじゃないかと、、、
あとで、銀座松屋だっけ?表彰式があったんですよ、
3位だったから、表彰状もらいに行ったんや。
そん時、事務局の方から聞いたんやけどな、
ネジも面白かったけど手紙に感動したって、、、
嬉しかったね。

その手紙は僕のところのバイブルや。
家のあちこちに貼ってあるよ。
トイレにもね(笑)。

その後、年に1回くらい、
「これは」と思うデザインのコンテストには
ネジを作って応募してね、、、
9割以上の確率で何らかは入賞しましたわ。
通産省のグッドデザイン賞も2つ3つ選ばれてます、、、


、、、ネジをデザインする
っていう発想が無いんでしょうね、、、
僕のデザインがいいなんて言わないですけど、
審査員の方々が、、、何か感じるんでしょうね。


ネジの手紙

オレ達、ネジがこの世に存在しなければ、この世のほとんどすべての製品は成り立たないじゃないか。
動かないじゃないか。この世になくてはならない自動車だって飛行機だって、ロボットだってただの不要品だ。
それなのに全く見向きもされてないとは情けない。
それに、24時間働き詰めでは身がもたないし、ストレスも溜まるばかりだ。
だから、オレ達だけで労働組合をつくりたいんだ。
親方も賛成だし。
8時間は一生懸命に働く。
そのかわり16時間は自由行動だ。
今の親方に巡り会ってからオレ達の人生が、大きく変わろうとしている。
親方がオレ達にオシャレをして、自由時間に自由行動せよと、オレ達に助言してくれている。
今まで苦労した分、好きなことをやれと・・・・・・・ありがたいことだ。
これからはオレ達もオシャレをして都会へ彼女とデートに、ドライブに、パーティーにも参加するんだ。
カフェバーにも、ディスコにも行くんだ・・・・・


川端ネジ製作所
所在地 大阪府東大阪市衣摺4-9-11
業務内容
デザインネジ、企画・デザイン開発・製造・販売
1. あらゆるニーズにあった形状デザイン加工
2. あらゆる表面処理及びカラーデザイン加工
3. 高品質、コストダウン、短納期はもちろんのこと、
ネジ1本から100万本まで対応
工業用精密ネジ、ナット、製造・販売
セキュリティー用精密ネジ・ナット販売
オリジナルカードホルダー製造・販売
MAIL kawabata@art-neji.com
URL http://www.art-neji.com

清水薫 (1970生)
金属工房を経て、株式会社IDEE入社、IDEE WORKSHOPにて商品開発と製作を行う。
96年、EXIT METAL WORK SUPPLYを設立。
金属で物を作りながら考える事を中心に、家具・什器のデザイン、自社工房での製造、及び企業に対してのプロダクトデザインやマテリアルの開発等を行う。
2007年より既製品什器の製造・販売を開始。
メーカーを目指してみる。メーカーカタログサイト



#069 2010.09 モノ作り 今昔
#068 2010.08 上海見聞録
#067 2010.07 香港見聞録
#066 2010.06 現代手工業展2010
#065 2010.05 展示会の準備 その2
#064 2010.04 展示会の準備 その1
#063 2010.03 展示会について
#062 2010.02 NPOについて
#061 2010.01 新年のご挨拶
#060 2009.12 星のや京都
#059 2009.11 先人達に学ぶ
#058 2009.10 ビルの壁面のアート
#057 2009.09 rooms 19
#056 2009.08 日本のモノ作りについて思うことを少々
#055 2009.07 ハイテクなモノ作り
#054 2009.06 部屋を彩るもの ホームアクセサリー展
#053 2009.03 ホームアクセサリーを作る その1
#052 2009.02 EXIT この春の開発
#051 2009.01 両テは強えのか!2009
#050 2008.12 EXIT 今年の開発
#049 2008.11 井口産業の井口君
#048 2008.10 やさしいコンクリート KITSUJI
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