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ホーム > モノ作りの現場から > EXIT METAL WORK SUPPLY 清水薫 #061



皆様 あけましておめでとうございます。
2010年より 現代手工業乃党の党首を務めさせていただくことになりました
エグジットメタルワークサプライの清水 薫です。

早いもので 現代手工業乃党の活動も今年で7年目を迎えました。
2004年に設立した頃と比べ 世の中も随分と変わってきましたし
メンバーも増えたので 私達の活動のコンセプトをアップデートするために
先日 IID内にあるノッチョさんの工房にて現代手工業のみなさんと会議をしました。

基本的なコンセプトは「工芸から工業の人々によるモノ作りとデザインの活動」だと思うのですが
「現代手工業乃党って何?」と聞かれて一言で説明できるくらいの単純明快なキャッチコピーを
みんなで 考えて考えて考えまくって決めたのが
「モノ作りをデザインする」
というとても短くもありながら なかなか意味の深いナイスなフレーズができました。

基本的に日本は資源国ではないので 今も昔もこれからも モノ作りをしてナンボなのです。
簡単な加工の工程は東南アジア等の新興国に移行してしまい
二度と その流れは逆行しない中
日本のモノ作りが世の中に求められるのは
大きく分けるとハイテクかクリエイティブかになると思います。

ハイテクの分野は大企業とその研究室そして神業的なスーパー職人のおじさん達に任せるとして
私達は商業施設の装飾物品やデザインプロダクトの開発や製作など
クリエイティブなモノ作りというジャンルでがんばろうと思います。

たぶんこの部分は「日本のガラパゴス諸島化」といわれる部類に入るので
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※日本のガラパゴス諸島化・・・
ガラパコス諸島に生息する動物が独自の進化をとげたように
携帯電話の機能やトイレのウォッシュレット、漫画、アニメーション等 日本という島国の中で切磋琢磨していたら
知らぬ間に独自の進化をとげ世界一のレベルになっている事を指す
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ここのトコを集中してがんばっていけたら
小さな町工場でもまだまだ 夢も希望もあるんじゃないのかと真剣に考えています。

昔と比べ 様々な方々の努力のかいもあって 世の中のデザインは
衣、食、住、ほとんど全てにおいてボトムアップされました。

高いものから安いものまで 町中 あたりまえのように大体かっこいいモノであふれています。
変に辛口にならなければですが ダサイのを探す方が大変なくらいです
そんな大量生産された大体カッコいいデザインプロダクトであふれかえる中
私達 は「モノ作りの作り手は 作り手ゆえのデザインという価値を付けられるのか?」
ということに現代手工業乃党の展示会を通して挑戦しています

もちろん その難しさは ある程度 理解しているつもりですが
実際に本人がデザインを考え その本人が製作し
カッコいい物が出来た時でも そうではない時も
実際の展示会やコラム等にてその過程と結果を公に示し続けています。

「製造業の脱下請けのトレーニング」とも言えなくもありませんが
そのデザインに対する七転び八起き的なモノ作りの日々を赤裸裸に綴る
月に一回の「モノ作りの現場から」というコラムは
インテリアデザイナーや建築家、工務店の人やデザインの学生さんだけでなく
クリエイティブなモノ作りという職業で独立を希望している人々や
現在 製造業を営んでいて自社プロダクトを開発しているような方々に
様々な素材の加工の仕方や業者の紹介など かなり便利な参考となるでしょう。

それは 現代手工業乃党の一つの活動の指針でもあるのです。
また「モノ作りのイメージアップ」という指針もあります。

いい腕のおじいちゃん職人の方々が体力や年齢などを理由に退職していく中
二台目が継ぎたがらないとか 若い人々がモノ作りの職場に就職したがらないという問題があります。
何故でしょう。

モノ作りの現場は「キツい 危険 汚いの3K」だなどと言われてから随分時間もたちますが
相変わらず 労働の環境や雇用条件などの改善は十分にはされていないようです。
経済産業省 厚生労働省 文部科学省が編集している。
「ものづくり白書」という本が発行されているのですが
「技術の継承」と「若者にとっての魅力ある職場づくり」が出来ていない事を
今の日本が抱える大きな問題として結構なページ数を割いて伝えているのです。

実際 技術を伝えたくても新しい人が入ってこなければ伝えなれないし
仮に入ったとしても 職場にある程度 魅力がなければ人は定着しないし
だからと言って 職場の壁を白いペンキで塗って、AMラジオを消して、
おしゃれな作業着に着替えたら解決するなんて程 問題は薄っぺらくはないのです。

経営者的には「不景気で仕事がナイ」とか「あってもビビるくらい安い」など根本的な問題もありますが
職に就こうとしている若者目線で考えてみると
「オヤジの仕事の愚痴を聞かされすぎてモノ作りの職業を継ぐことに魅力を感じられない」や
「モノ作りの職業に就くとモテそうな気がしない」または
「オレは歯車じゃねー」(某ロックバンドがこんな感じの歌を歌っていた) など精神的にネガティブな印象を
若者に与えてしまっているという問題も実際に多くあると思われます。

何で 日本のモノ作りには夢や希望が持てないのでしょうか。
日本にだってモノ作りで大成功した人がいるんですけどね。

痛くない注射針を作った岡野工業(株)の岡野さんとか ハンパじゃないし
コレットチャックを作る(株)エーワンなんて一代で町工場から株式上場までしちゃったし
スポーツ選手やミュージシャンの様に成功した人だっていることはいるんですよ。

間違いなく夢も希望もある まともな職業なんですけど
ただ製造業に対して「良いイメージが持ちにくい」とはどうゆう事なのでしょうか。

この問題を解決するのは相当難しいのですが 
先ほども書きましたが資源国ではないこの国は今後も加工したモノを売って生きていくしかないので
避けて通らない方が将来のためなのです。

例えば 日本のプレス加工技術は世界一ですが、
ニュース等でプレス加工関連の事柄を聞いて「あぁ プレスって あれか」と
何らかの実感やそれに似たイメージを連想できる子供たちが何人いるでしょうか?
たぶん プレス屋の子供以外 ほとんどいないんじゃないでしょうか。
で、プレスのイメージを持たない子供たちがプレス屋に就職したいと思う可能性はまずナイです。
イメージできない職業に就きたいと人は思わない。
もし 国が 本当に 若者にモノ作りの職場に就職してほしいのなら
日本が世界に誇るモノ作りの素晴らしさを子供たちにアピールすべく
小学校くらいの学校教育から年に一回 一日だけでもいいから経験させるべきだと思います。
クラスの全ての子供にプレス加工の技術を上手くなるまで指導しろなどとは言いませんが
「なんかプレスってオモシレー」とか「国語や社会は苦手だけど プレスは得意かも」
なんて思ってくれる子がクラスに一人で出てくれれば上出来だし
また その中の何人かが 将来 「プレス屋に就職してみようかなぁ」と前向きに思うかもしれない。
他の子供達もプレス加工の体験をする事によって大人になってからプレス加工の事柄に触れた時に
「あの時の授業でお皿を作った アレかぁ」と具体的に記憶を思い出すレベルにまでいきます。
そうじゃないと体育でサッカーを習った少年がプロのサッカー選手のプレーを見て感動するように
プレスの技術で痛くない注射針を作った岡野さんの凄さに感動できないじゃないですか。
日本の国益を生んでいるプレス加工や深絞りに対して人々が具体的にイメージできるようになる事は
モノ作りのいわれのないネガティブなイメージを払拭することにもなるでしょう。

私達は現代手工業乃党の活動を通じて同世代の人達にモノ作りの楽しさとリアリティーを伝えようと
2004年から今までがんばってきたのですが これからは子供達にもモノ作りの面白さをガチで伝えるべく
機会があれば 楽しく面白くモノ作りを学べる学校教育の教材の開発等もしてゆきたいと思っています。
子供達が将来 モノ作りという職業に夢や希望を持ってもらえるようになるために
多種多様な素材を使い デザインとモノ作りを業界の第一線でやってきた
現代手工業乃党のみんなのノウハウが少しでもお役にたてれば嬉しいです。


説明が長くなりましたが このような2つのコンセプトを一言で分かりやすく言うと
「モノ作りをデザインする」ということになると思うのです

こんな時代ではありますが モノ作りとデザインの会社が10社以上 集まって
スグに利益が出るわけでもないし また なんの保証があるわけでもない行為を
ある程度の時間と経費と人的エネルギーを懸けてNPO法人 現代手工業乃党として活動をしています。
こんな私達ではありますが 今後とも どうぞよろしくお願いいたします。


NPO法人 現代手工業乃党 党首 
EXIT METAL WORK SUPPLY   清水 薫


清水薫 (1970生)
金属工房を経て、株式会社IDEE入社、IDEE WORKSHOPにて商品開発と製作を行う。
96年、EXIT METAL WORK SUPPLYを設立。
金属で物を作りながら考える事を中心に、家具・什器のデザイン、自社工房での製造、及び企業に対してのプロダクトデザインやマテリアルの開発等を行う。
2007年より既製品什器の製造・販売を開始。
メーカーを目指してみる。メーカーカタログサイト



#069 2010.09 モノ作り 今昔
#068 2010.08 上海見聞録
#067 2010.07 香港見聞録
#066 2010.06 現代手工業展2010
#065 2010.05 展示会の準備 その2
#064 2010.04 展示会の準備 その1
#063 2010.03 展示会について
#062 2010.02 NPOについて
#061 2010.01 新年のご挨拶
#060 2009.12 星のや京都
#059 2009.11 先人達に学ぶ
#058 2009.10 ビルの壁面のアート
#057 2009.09 rooms 19
#056 2009.08 日本のモノ作りについて思うことを少々
#055 2009.07 ハイテクなモノ作り
#054 2009.06 部屋を彩るもの ホームアクセサリー展
#053 2009.03 ホームアクセサリーを作る その1
#052 2009.02 EXIT この春の開発
#051 2009.01 両テは強えのか!2009
#050 2008.12 EXIT 今年の開発
#049 2008.11 井口産業の井口君
#048 2008.10 やさしいコンクリート KITSUJI
#047 2008.08 誰かの為のギフト&トロフィー展
#046 2008.07 トロフィーを作る
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#044 2008.05 iron I(アイアンアイ)
#043 2008.04 現場で使える英会話
#042 2008.03 ロートアイアンのパーツのことならレッキーメタル オーナメント ジャパン
#041 2008.02 浦安
#040 2008.01 「溶接します。」
#039 2007.12 「ガス切りをやります。」
#038 2007.11 「パイプを曲げます。」
#037 2007.10 「鍛造やります。」
#036 2007.09 読書の秋
#035 2007.08 トラスボックス/EXIT 今月の開発
#034 2007.07 百合の義星/EXIT 今月の開発
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#032 2007.05 什器のメーカーになってみよう
#031 2007.04 「モノ作り」白書
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