そして、ロウを置きます。 接合したい箇所のすぐ隣や上にロウを置き、 熱を加えてロウを溶かします。 左の写真のスプーンのロウ付けは、 先に棒の部分にロウを少し溶かして付けておき、 皿と挟んで、接合面で溶かすという風にしています。 この時、ロウだけに火をあてると一気にロウが高温になり、 亜鉛など融点の低いものが気化し、成分が劣化して、 ロウの流れが悪くなってしまうことがあるので注意です。 むしろ、ロウには火を当てず、 接合したい双方の地金に火を当てます。 両方の金属が同じ温度になるように熱を加えていきます。 片方に熱が偏ると、うまくロウが流れない原因になります。 地金が暖まってくると、自然とロウが溶けてきます。 こうなったら、火の勢いをちょっと上げて、 さっさと仕事をします。 ロウは熱の高い方に流れていきますので、 こっちの方向に伸びてほしいなという方に バーナーの火を持っていきます。 火を使って、ロウを引っ張るような感じです。 左のスプーンの場合には、 棒にロウがくっ付いている状態なので、 先に皿に熱を持たせて、ロウを誘導しています。 あまり長く火を当てていると温度が上がりすぎて ロウがボソボソになってしまいますのでさっさと火を止めます。 私が思うに、ロウ付けに深追いは禁物です。 うまく流れないからと言って、いつまでも熱を加えていると、 余計に状況が悪化します。 大抵、油分が残っているとか、接合面が合っていないとか、 ロウとは別の理由で流れが悪いことが多いので、 一度酸洗いしてからもう一度やった方がうまくいきます。 こうして無事に接合が出来るというわけです。 でも、ロウ付けで最も大切なことは、 接合部分がピッタリ合っているかや、 ロウ付けするモノが作業中に動かないように ちゃんと固定されているかなどの、 作業を始める前のセッティングだと 職人さんが言っていました。 準備の作業ってちょっと面倒臭いことが多いのですが、 確かに、備え良ければ憂いなしってこと、多々です。 熱で顔がパリパリすることもありますが、 ロウ付けは意外と楽しい作業です。 火で金属を誘導するのがちょっと面白いなと思います。 夏は絶対にお勧めしませんが、 最近暖かくなってきて、 換気していても寒くないし、いい季節かも。 この時期ロウ付け、オススメです!