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ホーム > モノ作りの現場から > hitin metals 佐藤江利子 #004



さわやかな季節がやってきました。
私にとっては、だんだんと暖かくなり、ホッとする時期。

今回は、鍛鉄の仕事をしている、平田 淳さんの工房にお邪魔した話です。


平田 淳さん工房


天高のある空間


仕事風景


道具類


道具類


道具類


飾り釘


スペインの留学先、Centro de los oficios de leonの資料
平田 淳さんは武蔵野美術大学の彫刻科卒。
卒業後は、友人と三人で内外装など
ディスプレー関係の仕事を10年程やっていたとのこと。
当時は、様々な素材を扱って仕事をしていましたが、
金属に関しては、切ったり付けたりすることが主で、
叩くことはほとんどしなかったそう。
その後、ロートアイアンの勉強をする為にスペインへ留学。
Centro de los oficios de leonで、鍛鉄の仕事を学び、
また、ガウディ建築の修復にも携ったそうです。

学位を取得後、講師として学校に一年間残り、その後帰国。
蕨の工業団地内にある工房には、2003年頃に移動し、
そこで鍛鉄の仕事をされています。


伺った日はあいにくの雨でしたが、
工房内は、天井が高く広々とした、とても雰囲気のある空間。
真ん中にある大きな炉には、赤い火が煌々としていました。

大きな機械から小さな工具まで、
沢山の道具がひしめき合うように並んでいます。
その一つ一つに暖かみを感じるのは、
ハンマーなど手で作っている道具が沢山あることだけではなく、
その道具が入っている棚や引っ掛けているフックまでも、
作られたものばかりだからじゃないかと思いました。

仕事場全体から淳さんの「手」が感じられ、
作るものの雰囲気が伝わってきます。
もちろん、工房にある大きな炉も、自分で作ったそうですよ。

淳さんの仕事は鍛鉄(たんてつ)が中心です。
鍛鉄とは、一言でいうと、「鉄を暖めて叩く」ということだそう。
炉の中でレモンイエローになるまで熱した無垢の鉄を、
最初はかなり豪快にハンマーで叩き出します。
形が決まってきたら、今度は繊細にハンマーを振り、
面など細かい部分を決めていきます。
日本では最近、鍛造の仕事はコークスを使って行うことが
多いそうですが、淳さんはスペイン式で石炭を使って火を熾します。

コークスと石炭の違いですが、
コークスは、石炭を蒸し焼きにした燃料のこと。
精製してゴミを排除しているので、煙や煤が出ず、
火を入れれば、ある程度は放っておいても平気なよう。
一方、石炭は、煙や煤が出ますし、
火を入れてからも勢いを保つなど
面倒を見る必要があるようですが、
コークスに比べて、温度が短時間で上がるそうです。
ですから、早く芯まで材料に熱が入り、
柔らかい形を作ることが出来ます。
また、ゴミが排除されずに残っているので、
表面が少し荒れたような、質感のある仕上がりになります。
淳さん曰く、価格も安く、仕事もしやすい、
オススメの燃料とのこと。


この日は仕事の合間にお邪魔させてもらったのですが、
サクサクっと鉄の飾り釘を作ってプレゼントして頂きました。
それがすごいスピードで、あっという間に出来て、ビックリしました。

鍛鉄の仕事は、刻々と過ぎる時間と勝負しながら
カタチを作りますので、素早く的確に
ハンマーを打たなくてはいけません。
淳さんは簡単に作りますが、
体力と技術とセンスがとても必要な仕事で、
且つ、どれも欠けては出来ない仕事だなと思いました。

手渡された釘には何とも言えぬ暖かみがあります。
削り出したものとはまた違う、硬さと柔らかさが共存したカタチ。


移動式の炉


屋外で鍛造(松本のイベントにて)


真剣に見るこども


鍛造見本


飾り釘


平田さんが修復をした、ガウディの扉


ガウディの扉 細部


きりんの洋服掛け


バイオリニストの譜面台


フランスのお城の門扉


お城の門扉 細部

去年の夏は、松本のクラフトフェアに参加し、
野外で鍛造をしたそう。
炉は、鞴(ふいご)の付いた移動式のものを、
野外用に作ったもの。
子供は興味津々です。
未来は鍛冶屋かも・・・?

平田 淳さんの工房では、今年から鍛造コースを始めるそうです。
「上質な石炭でやる、プロ志向の鍛造、教えます」とのこと。
今年は夏期講習も行います。
ワークショップも2ヶ月に1度程度行う予定で、
その他のカリキュラムなども現在検討中とのこと。

興味のある方は下記までお問い合わせください!

鍛冶FUIGO
平田 淳
所在地 埼玉県蕨市錦町5-6-1蕨工業団地 B1
TEL&FAX 048-432-0833


佐藤江利子 (1978生)
2002 武蔵野美術大学 工芸工業デザイン学科 卒業
2002 株式会社プレステージジャパン 入社
オリジナル家具の販売、インテリア小物の仕入れ・開発に携わる
退社後、金工職人の元で仕事を勉強
2006 hitin metals設立

金属を使ったテーブルウェア、インテリア雑貨、照明器具、ジュエリーのデザイン・製作。
家具や什器における装飾部分のデザイン・製作などを行います。



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