
写し作品
右上:荒井さん
中段左から:濱中さん、新宮さん、伊藤さん


2世紀シリア器

鉄で叩いた写し

真鍮銀メッキ器

銅器

鉄器

伊藤さん 写し

寒川さん 写し
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この展示会の趣旨、
うつしの原型になっている陶器の形の出所は、
僧侶の修行の1つ、托鉢(たくはつ)の時に持つ
器から来ているようです。
托鉢とは、自分の鉢(うつわ)を持って
一般在家の宅を読経し廻り、お布施を頂き、
自らの糧とする修行のことです。
その修行の際に持ち歩いていた鉄製の鉢のことを、
鉄鉢(てっぱつ)と言い、
焼き物でも鉄鉢形としてしばしば作られる形だそうです。
鉄鉢自体は、常に僧侶が持ち歩いていたものですので、
非常に薄い鉄板で作られたものであったようですが、
今回私は陶器の雰囲気を写し、
分厚い鉄板で器を作りました。
前回ご紹介したサビの状態から、さらに進行させ、
表面に浮いているオレンジ色のサビを
ブラシで落とした状態で展示しました。
そこでわかったのですが、どうやら、
9ミリもある分厚い鉄板を叩いて形を成形するというのは、
普段、鉄の仕事をする人でも珍しいことのようです。
「普通やらないでしょ!」の声多々でした。
ただ、鉄の量感、質感が面白く出せたので、
みなさんに好評を頂くことが出来ました。
作ってよかったです・・・。
その、シリアの器から展開した、真鍮、銅、鉄の器は、
比較的薄い材料を使って作りました。
器の形作りは木槌で行い、成形時に出来る、
地金の歪みやしわが薄ら残るような仕上がりにしました。
3種の地金で同じ形の器を、
同じように木槌を使って作ったのですが、
それぞれの特徴が良く現れました。
硬い地金の真鍮は、パリっとしたしわの表情が出ました。
上から銀メッキをかけて白い仕上がりにしています。
しわで反射の光がゆらいでいます。
銅は、柔らかさを生かして
銀ロウで模様をつけた地金を、木槌で叩きました。
粘りのある地金なので、真鍮のような硬いしわは出来ません。
模様の強弱が雪のようにも見える器。
鉄の器は、熱間に叩き、内側から形を出しています。
表面は真っ赤に熱して酸化させ、表情をつけています。
この表情は鉄でしか出せないと思います。
今回の展示でも、沢山の方に
私の仕事を見て頂くことが出来、
本当にうれしく思っています。
様々なご意見、ありがとうございました。
ものが持つ魅力、ということを、今回の展示でよく考えました。
異素材の作家さんに感化された部分が大きいと思います。
また、こうして仕事を展示する機会があると思うので、
魅力あるものをみなさんに見て頂けるよう、
もの作りに励んで行きます。
今後とも、何とぞ、よろしくお願いします!
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