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ホーム > モノ作りの現場から > 井口産業 井口隆一郎 #002



今月より鋼材に関するリポートをなるべくしていきたいと思います。
やはり素材を知らないと始まらないと言う事でどんな鋼材があるのかを見て行こうと思うのですが
まずは物流量が多いということで鋼板、板関係から始めましょう。


ケースでの在庫



高炉系メーカーシート



縞板のレベラー(一番最初の部分。かなり皺がよっています。)



縞板のレベラー(最後の方。切断されかなり平らになります。手前の機械を通し水平を出し出来上がりです。)



縞目色々



熱延鋼板コイルと新人営業マン野中君



極厚鋼板

通常、鋼板は厚み6mm〜12mm位を境として
コイルとメーカーシートの二種類からなります。
メーカーによりますが
厚み0.3mm〜12mmがコイルでの出荷が可能で
12mm以上はシートによる出荷が主です。
薄い物はシートで運び辛いですし
厚い物はコイルにする事が出来ないので
そうなったと思われます。

コイル材はメーカー(新日鐵やJFEなど)から入荷されると
レベラーと呼ばれる機械を使い平らに慣らしてから
切断をして定尺板を作ります。
レベラーで切断する前にスリッターと呼ばれる
幅切りの機械を使い指定の寸法に製材することも出来ます。
2t程の注文でこの対応は可能で
価格面や均質化にメリットが出ます。
コイルの場合は上記の様なレベラーやスリッターを持った
コイルセンターと呼ばれる加工販売会社を経由して
問屋に在庫されたり二次加工業者やエンドユーザーに
配送されます。
メーカーシートの場合は直接の配送になります。

今回は熱延鋼板と縞板のレベラーと
極厚鋼板を見させていただきました。

縞板はよく階段などに使われる
滑り止めの付いた鋼板の事です。
チェッカープレートとも言いCPLと表記します。
縞板には現在、メーカーによって三本縞(旧川鉄)と
一本縞(前者以外のメーカー)があります。
一本縞でも微妙に違います。
縞板は、普通の板より同じ厚みで強度がある為、
わざわざ縞板を逆さに使う人もいます。
ちなみに縞模様は片面のみです。

熱延鋼板は普通の鋼板でホット材などと呼びます。
いわずと知れた普通の黒皮の板です。
何も言わないとこれが出てきます。
極厚板は厚み55mm位からを指すのでしょうか。
現在、メーカーにて生産しているのは厚み530mmまでとの事。
これはメーカーシートと言うかメーカー別注です。
しかも、別注なのにサイズ注文でなく
この厚みこの幅で25トンと重さ限定の長さは指定できない
という完全売り手市場。
納期も厚み190mmアップは注文後9ヶ月から一年
と言うことで欲しい人は早めに手配しないといけません。
通常は在庫にあるサイズを使うのでこんな心配は無いですが、、、
極厚板は圧延品と鍛造品があるようで
品質的に圧延品が主流の様です。
鍛造だと中心部まで圧力が届かず空気が抜け切れず
鬆(す)が入った様になる事があるらしいです。
極厚板はほぼ国産品、外国では製造が難しいそうです。
頑張れ日本。


写真協力
新井鋼業(株)・(株)スズヤス・丸井鋼材(株)・(株)丸和
いつもありがとうございます。


注釈
コイル 圧延して出来た板をコイル状に巻いた物。
幅は限られますがタイミング次第で長い板も製造が可能です。

メーカーシート メーカーで製材された板の事。
通常の定尺以外にも切断母材として10"×40"等の大きな板も存在します。

10"×40" トヨンジュウ。10尺40尺の事。
3,048mmx12,192mm。
鋼材業界では1尺304.8mmが慣例だが304.8mmは1フィートのメートル数値。

ケース 鋼板を紙で梱包した2t程の束。
紙で梱包することによって中の空気が動かないので錆びや腐食が起きにくい。
ミガキや酸洗・表面処理鋼板などの薄板(厚み0.3mm〜3.2mm)はこの様に保管する。黒皮材はこの限りではない。

定尺 流通させる際に決められた基準のサイズ。
板の場合は大きさを指します。板以外の長物は長さを指します。
定尺サイズにつきましては井口産業HPより重量表をご覧下さい。

黒皮 熱間圧延した際に出る酸化皮膜が付着した地肌のこと。
製造時の副産物だがこれによって錆が出にくくなっている。
板によっては、波模様になっていたり味のある表情をしているのでそのまま使うことを好む人も多い。

鬆(す) 鉄の場合は空気が抜けきらなかったり埋められなかった場合に空間が出来てしまっている状態。溶接の際に出来やすく強度が得られない為に建築などの場合は超音波検査で調べられる。

野中君 平成16年入社の女の子大好き27歳 今年より営業担当
木更津在住



ジリ安傾向
現在、スクラップが底打ち気味なのと高炉系の強気が続いているので下げの勢いは小康状態だが、実際の荷動きはかなり悪い為に小幅ながら値下基調は変わらず。

井口隆一郎(1973生)
1996  東京造形大学 比較造形学科 卒業
1998  E&Yにて製作担当
2001  井口産業入社

現在 鋼材販売営業及び鋼管曲げ加工担当。
年に何回か発作的にモノ作りを始める二児の父。



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