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それでは、今月は鋼管について話していきます。


丸パイプの在庫
手前や左奥の銀色は亜鉛メッキ品


カラー角パイプの在庫


角パイプの酸洗肌


黒皮の角パイプの在庫


OSTという種類の丸パイプの在庫
内径を使うための物でキャップが
してあります。シームレス管。


ニス付きパイプ


コラムの在庫
コラムは建築用途が殆どでパイプ屋より形鋼屋で在庫している。


大径パイプの在庫
こう見えて1000φ以上あります。


巨大チーズの在庫
上の方に巨大45度エルボが見えます。


レジューサーの在庫


溶接キャップの在庫


パイプは、製造法や用途などによって
規格がとても多い鋼種ですが
形状は大きく分けて丸パイプ、角パイプと異形パイプです。
異形パイプは、楕円や六角形・半丸など
いろいろ製造できるのですが
在庫品も少なくリロール製造になりますので
加工として後日別個に紹介したいと思います。

基本となる丸パイプからいきますが
外径の大きさは6φから始まり1219.2φまであり、
インチ単位を基準としたサイズ展開となっていて
ステンレスやアルミの様にミリ単位を基準とした物は
あまりないです。
インチ単位を基準にしているといっても
1インチは25.4mmなのに
呼称としての1インチ(B呼称)は34mmで
25A(A呼称)と呼んだりしています。
25Aは25mmと言うことらしいのですが
実際のサイズではなくインチ呼称をミリ換算して
区切りよくしたような感じです。
たとえば、
2B(インチ)=25.4x2=50.8=50A(ミリ)とか
3/4B(インチ)=25.4x3/4=19.05=20A(ミリ)
など
なんとなく整合性はあるのですが
実際の50Aは60.5φですし20Aは27.2φなので
書いていても訳が分からなくなってきました。
14B(インチ)以上のサイズに関しては
25.4の倍数になっているのですが
それ以下はそのままとは言い難いので覚えるしかありません。
配管工の方はインチで仕事をされている方もまだ多い
との事ですが流通ではA呼称か実寸の外形と厚みで
サイズを伝え合っています。

次に、肌目と言うか仕上げです。
パイプ類の殆どが鋼板から出来ていますので
鋼板の規格に近い肌になっていて肉厚が薄いところや
外径が小さい物は酸洗肌で黒皮ではありません。
寸法で言うと21.7φより小さい外径の物や
厚みが1.6や2.3より薄い物はほぼ酸洗肌になります。
装飾メッキなどの後処理をする場合は、
黒皮を嫌って薄肉にする必要があるのではないでしょうか。
逆に黒皮を好むお客様も多く、
細いパイプで黒皮が付いているシームレス管を
通常のパイプの倍以上も単価がするのに指定してきます。
ちなみに、シームレス(継ぎ目なし鋼管)は
主に内径精度重視の圧力配管などに使われている物で
製造工程が難しく上に需要が少ないため
どうにも安くはならない製品です。
合わせて、パイプは錆びやすい為に油が付いていますが
大きいサイズになるとニス塗りの物があるので
使い方によっては注意が必要です。

定尺は規格によって色々ですがガス管は5.5mのみで、
その他は5.5mか6mが殆どで
60.5φの厚み3.2以上からは12m物も存在するようです。
14φ以下の極細パイプは3.66mのみになります。

丸パイプは配管としての頻度が高く、
それに伴って継ぎ手やフランジなどの
パイプとパイプのつなぎ目に使う製品が存在します。
継ぎ手類にはエルボと言って
90度や45度にパイプをつないでいく物や
チーズと呼ばれる分岐させるものなどがあり
蓋やコックなどと合わせていろいろな便利な商品が
取り揃えてあります。
フランジは内圧が高い配管で
比較的大きいパイプのつなぎ目に使われる物で、
ただパイプとパイプを溶接しただけ
では強度が得られないのと
メンテナンスの際に交換ができるように使われる物です。
配管のための材料なのでガス管規格で製品は構成されています。

このようにサイズや付属品も多くある丸パイプは
用途も幅広く意匠的にも選択しやすいのではないのでしょうか?

そして、角パイプです。
この鋼種は、殆どが丸パイプを加工して作られているので、
同じように小さい物・薄い物は酸洗肌になっています。
ちなみに、スーパースモール角パイプと
スモール角パイプの45角までは酸洗肌になっているようです。
大きいサイズはになると建築構造用のコラム材になり、
肉厚もあるためか丸パイプからではなく板から折り曲げで
四角に成形する製造方法になります。

サイズは9x9から550x550まであり、
断面が正方形の物で200x200以上のサイズがコラムです。

通常、角パイプの角はRが付いていますが
スモール角パイプと呼ばれるタイプで
比較的鋭角なRの角出しという物があり、
その中で60x30だけがR付きとR無しが存在するので
気をつけましょう。
定尺は、スモール角パイプは5.5mで
スーパースモール角パイプは6m。
構造用で一番ポピュラーなSTKRは基本が6mと8mで
100x100以上の物などでは6m〜12mの1mピッチで
在庫されている物があるようです。

丸パイプと角パイプは同じお店で扱っていることが多く
呼び方の区別として
丸パイプは
27.2x2.3(ニーナナニーのニーテンサン)
等と外径から呼び、
角パイプは
1.6x40x40(テンロクのヨンジュッカク)や
1.6x40x20(テンロクのヨンジュウニジュウ)
等と厚みから呼びます。


鋼材の基本的な種類は残すところ棒鋼類のみとなりましたので
次は材質を少し覗いて本題の加工に入っていきます。


今回は三井物産鋼材販売(株)様・(株)ニッコー様・
丸八鋼管(株)様・(株)極東パイプターン様
に撮影協力いただきました。
いつもお世話になりありがとうございます。


注釈
リロール 一度、丸パイプなどに成形されたものを
再度、ロール成形機に通して形状を作り出す方法。
メーカーで製造していないサイズの角パイプなども
この方法で製作します。

ニス付き パイプには高炉メーカーと
熔協メーカー(電炉メーカー)があり
高炉品にはニスが付いている。

レジューサー  パイプ外径を切り替えるときに使う継ぎ手。



上げ
全体的には強基調の展開。
流通サイドでの需要低迷は相変わらずと言う状況だが
メーカ発表の単価は確実に上がってきている。
スクラップ高が主な要因だが需要の伴わない値上げはバランスが悪く
先が読めないので綱渡り的な展開がまだまだ続きそうな模様。
在庫調整で対応を迫られる流通では歯抜けサイズが出てきている。

井口隆一郎(1973生)
1996  東京造形大学 比較造形学科 卒業
1998  E&Yにて製作担当
2001  井口産業入社

現在 鋼材販売営業及び鋼管曲げ加工担当。
年に何回か発作的にモノ作りを始める二児の父。



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