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シャーリングマシーン前面
真ん中の隙間に板を差し込み切断します。


シャーリングマシーン裏面
隙間の部分が刃になっています。
刃が斜めになってなっているのが
分かりますか?


コーナーシャーのテーブル面
90度を欠き込む専用機。


シャーリング切断の断面
厚めの材料だと小口の粗さと多少のダレが
わかります。


薄板をシャーリングで細幅で落とすと
このようによれが発生します。


今回は鋼板の切断という事でフリーハンドではなく
機械を使った板の切断方法を紹介していきたいと思います。
現在、主流になっている切断方法はシャーリング・ガス・
プラズマ・レーザーでそれぞれに特徴があり
求めるものに見合った方法を選択いただく事が出来ます。

それではどのような違いがあるかを見ていきます。
まずは、シャーリングです。
この切断方法は、鋼板をギロチンや鋏の様に切っていく物で
設備や営業品目によって切断している厚みや
最大切断長さはお店によってまちまちではありますが
厚み0.2mm位から16mm位までを
最大20尺(6,096mm)位までの長さで
直線に切断することが出来ます。
機械を見る限りでは、鋏の様には見えませんが
垂直に下りる刃が斜めになっていて
端から徐々に切る事が出来るのです。
徐々にと言っても切断の一工程は一瞬ですが。
薄い母材を切るときや幅の細いものを切ると
刃が入る方向に向かって丸くよじれてしまうのはその為で
極端に小さいものを切る事にも向きません。
長所としては、切断の寸法設定などの段取りや
切断自体が早いので必然的に単価が安くなってきます。
短所としては、切断面に粗さが残ったり
対角や寸法の精度が他の方法より低い事を挙げられますが、
実際は四角く切るだけの場合は何ら問題なく
薄めの鋼板を切るには一番ポピュラーな方法と言えます。
四角く切るだけでなく直線で構成されている多角形等も
切る事が出来ますが刃を途中でとめる事が出来ないので
内側に切り込みを入れることなどはできません。
なお、多角形の場合はケガキを目視で合わせるので
精度も出にくいです。
厚い物を切断する場合は、切断面の垂直度も出にくいので
注文の際に必要であれば寸法公差を指示するか、
被さるものであればプラス目、はめ込むものであれば
マイナス目などと謳うことも有効です。
シャーリングの仲間でコーナーシャーというのもあり、
こちらはシャーリングで寸法切りした物を
90度に欠き込むことや板金に時に使うビス穴なども開けられます。
この欠き込みによって箱の様に曲げること出来るようになる訳です。



ガス切断機
火の出るトーチが一杯ついているのが
わかります。
このトーチが一斉に動くことによって
同じ形状を一遍に切り出す事が出来ます。


ガス切断の断面
細かい線が入っていて意外に深いのです。


次にガス切断ですが、こちらは比較的厚い板を切る事
に向いている切断方法と言えます。
鋼板を溶かし風で落としていくイメージ
で切っていくので高温を伴い
常に切断しながら水をかけて冷却する事で
ねじれを軽減させており、この蒸気もあって
夏にガス切断している工場に入ると
サウナなんて優しいそよ風に感じます。
加工能力としては厚みは6mmからが多く
極厚専門の所では500mm(上下からの切断)が可能
だそうで大きさとしては最大8"x40"位までが一般的でしょうか。
あまり薄い板の場合は熱によるひずみが発生してしまう
為に向きません。
厚い鋼板を直線に切断する方法としては
多く使われている方法でガスとトーチとガイドさえあれば
出来るので現場などではいまだに重宝されています。
長所としては、安価な事とかなりの厚さまで切断できる事で
今ではデータさえあれば自由な形状に切る出す事も
普通にできるようになっています。
トーチの数を増やす事が出来るので
同じものを多く切断するのは適していると言えます。
ガス切断は基本的に垂直に切りますが、
切断後に斜めに火を入れて開先を取る事もできます。
短所としては、切断面に粗さが残る事と
熱による寸法公差や溶け込みが発生する場合がある事
ですが、ガスの噴出量などを調整することや機械の高性能化で
かなり切断面は綺麗になってきています。



プラズマ切断機
ハッキリ言って教わらなければ機械を見た
だけではどの切断機かわかりません。


プラズマ切断の断面
垂直度が低く不陸も出てしまいますが
尽き当てて使わなければ仕上げなくても
良いのでは。
個人的に結構気に入っています。


そしてプラズマ切断ですがこちらは電気で切るようなイメージ
と思って頂ければよいかと思います。
現在、レーザーに押されてあまり設備されていない方法
ではありますがまだまだメリットは多いように感じます。
加工能力は厚み3.2mm位から40mm位で
大きさはやはり最大8"x40"ぐらいが一般的なようです。
長所としては、切断のスピードが速い事と
切断面が綺麗な事で勿論自由な形状に切断可能です。
人によっては切断面がきれいとは思わないかもしれませんが
断面が溶けて面を形成しているのである意味、
研磨の必要性を感じませんので、、、
短所としては、切断の際にプラズマが面に対して
広がる様に切れていくので
多少斜めに口を向けて垂直度を出しているので
垂直の反対側は斜めになってしまうことでしょうか。

この様な特性を考えると隣り合わせて切っていくことは
不可能ですので取り合いに無駄が出てしまうことになります。



レーザー切断機
現在日本最速との事でリニアで動きます。
いずれいろいろな機械がリニアになっていくのだとかで、すでにヨーロッパではかなりの種類が出回っているとの事。


レーザー切断での断面
やはり線が入っていますが比較的に
浅い為、磨きやすいです。
最後にレーザー切断。
これは、火・電気と来て光によっての切断です。
現在かなり一般的なってきていて以前の様に
あまりに高すぎて使えないというような事もなくなってきました。
それでも、安くはないですが。
加工能力としては厚みは箔から30mm前後までで
大きさも最大8"x40"位までは一般的に設備されているようです。
長所としては、機械メーカーが一番力を入れている事もあり
常に性能が上がっているので何とも言えませんが
早いキレイが一番わかりやすいでしょう。
その他、鉄だけでない金属はさることながらアクリルや木まで
いろいろな素材を切断する事が出来る特徴もあり、
切るだけで出なくケガキを入れたりすることもできます。
ガス・プラズマ・レーザー全てに言える事ですが
熱が加わっての加工になるので
あまり微細には溶けてしまう為に切れないのが一般的です。
しかしながら、レーザーはかなり進化をしていて
以前では不可能と言われていた厚みよりも細い幅や
穴なども可能にはなってきています。
短所としては、やはり比較的に高い事ですが
かなりの量がある場合などは
逆にシャーリングより安くなってしまったりもします。


精度に関して言うとシャーリング→ガス→プラズマ→レーザー
の順となっていて単価についても同じ順番になります。
やはり費用対効果で使い分ける事が
最終的には利益につながってくると思います。

今回は(株)インスメタル様・三成商事(株)様・
(株)宮川商店様に撮影協力いただきました。
いつもお世話になりありがとうございます。

強含み
スクラップ単価も引き続き続伸しており
パイプを除いた各品種は軒並み値上げの状況となっている。
2月中は4月決算前の駆け込み小商いと相まって
多少景気が回復した錯覚を覚えるほどだった。
それも3月には落ち着きはらい4月はどんなスタートになるのやら。
建築需要は相変わらずの傾向で暗中模索。
しかし、メーカー販価は表面で上がり続ける模様。

井口隆一郎(1973生)
1996  東京造形大学 比較造形学科 卒業
1998  E&Yにて製作担当
2001  井口産業入社

現在 鋼材販売営業及び鋼管曲げ加工担当。
年に何回か発作的にモノ作りを始める二児の父。



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