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ホーム > モノ作りの現場から > STANDARD TRADE. 渡邊謙一郎 #003



『色が変わっていくこと』

最近すごく悩んでいる事がある。退色(変色)についてだ。
木工を始めて十年近くなろうとしているのだが、最近になって退色についてやたら考えるようになった。
そもそも、木材というものはその肌をむき出しにするとその場からだんだんと色を変えていくものであり、
またその木材に染色塗装もしくは着色塗装をほどこした場合はその色が退色していくものだ。
だけれども、そのわかりきった事実に対して最近考える事がある。




『その事実とお客様の希望』

日光や電気照明などにさらされて、色がだんだんうすくなる事
に対して抵抗感のあるお客様もいるという事実だ。
様々なお客様と接していると、
一概に「木材や色は退色するものです」と言い切って
お勧めをするのがあまり良くないのでは?と思う事がある。
その道のプロとして、木材を扱う技術者として、
色が変わっていくその事実をお客様に伝える責務がある
と思うし、もちろん説明はするのだがそれでも難色を示す人もいる。
色が変わっていくのが、薄くなっているのが嫌だと。
セラックニスなどを塗布して、ウレタン塗装を肉圧につければ
簡単に退色がとまるのだが、私は、そもそも自然に
退色していくものに対して、強引にそれをとめるという事に
抵抗感がある。

『退色と経年変化をアジととらえる。』

今現状の私の答えはやはりこう考える。
そもそも、木材というものはその肌をむき出しにすると
その場からだんだんと色を変えていくものであり、
また、その木材に染色塗装もしくは着色塗装をほどこした
場合はその色が退色していくものだ。
だとすればワックス等で手入れを日常でしていき、
定期的に塗り足しをしていく。
木製家具は手入れをするもので、丁寧に扱っていけば
色もキズも深みが出てくる。時間と共に育てるものだと。



『7年前と最近のもの』

仕事をはじめた頃のお客様で今でも長いおつきあいを
させていただいている方がたくさんいるのだが、
オーダーをリピートされる度に当時納めさせていただいた
懐かしい家具に出会う。
色あせても手入れをされ続けているその家具を見ると
退色していく事があまりにも小さな事に思えてくる。
退色に悩むのは今日でひとまず終わりにしよう。


※写真はお手入れようのワックスと、退色する前と退色がはじまったものです。どっちがどっちでもなかなか良い色でショ。


渡邊謙一郎 (1972生)
神奈川大学工学部建築学科を卒業後、品川職業技術訓練校木工技術科へ。
(株)ユナイテッドパシフィックス、(株)日進装備にて特注家具製作を学ぶ。
1998年春、千駄ヶ谷に特注家具製作所として STANDARD TRADE. を創立。
2000年冬、横浜に自社工場を設立。
2002年夏、東京都目黒区に事務所移転と共に有限会社スタンダードトレード設立。
2003年秋、目黒区五本木にオリジナルショップをオープンさせる。以後、個人住宅用の家具を中心にオフィス、店鋪等のデザイン設計施工、住宅のリフォームと、デザインと製作の両方の立場からスタッフと共に幅広く手掛けている。



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