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ホーム > モノ作りの現場から > STANDARD TRADE. 渡邊謙一郎 #006



「良い材料をつかって、丁寧に作る。材料を見極めて適所に使う。」

木製家具を作るにあたってとても重要な事なのだが、最近はこればかり言っていられないように思える。

本来であれば、製材された材料を温度や湿度を考慮しながら十分に自然乾燥したものを手に入れて、
なおかつ自社工場においても再度十分にねかしてから使うものである。

だけど、現代においてはそうはいかない。




市場に悪い材料が流れている訳ではなくて、昔程しっかりと自然乾燥された材料が出回っていないのだ。

十分に自然乾燥されているものは、市
場では手に入りやすい価格ではなく、
流通している材料のほとんどが人工乾燥されているものである。
価格が安定していて、手に入りやすいものは
人工乾燥ものが多い。

もちろん低含水率材を安定供給するための
乾燥装置の開発や設置が急速に進められているので、
もちろん品質は問題ないのだが、
長い間自然乾燥させた木材をふんだんに使っている時代
とは大きく違って、現代は人工乾燥モノや
含水率のあまり低くない材料もつかう事がたまにある。

材質的には問題はないのだが、
まれに、反りや狂いがひどく出てしまう場合がある。
この事実はどうしても避けられない。

こんな状況の中、僕は木工業界に従事していて、
この先も続けていくなかで、
現在手に入る材料ときちんと向き合わなければならないと思う。

それらを使いこなすだけの技術の訓練と、
材料の狂いを計算に入れてデザインや製作に
とりかからなくてはならないと思う。

先輩方も当然その事にきちんと向き合ってきたのだが、
僕らの時代はいっそうそのことについて考えなければならない。

デザインの中に構造面や技術面、
そして材料面の事にもきちんと向き合っていかなければならない。
僕はそう考える。


渡邊謙一郎 (1972生)
神奈川大学工学部建築学科を卒業後、品川職業技術訓練校木工技術科へ。
(株)ユナイテッドパシフィックス、(株)日進装備にて特注家具製作を学ぶ。
1998年春、千駄ヶ谷に特注家具製作所として STANDARD TRADE. を創立。
2000年冬、横浜に自社工場を設立。
2002年夏、東京都目黒区に事務所移転と共に有限会社スタンダードトレード設立。
2003年秋、目黒区五本木にオリジナルショップをオープンさせる。以後、個人住宅用の家具を中心にオフィス、店鋪等のデザイン設計施工、住宅のリフォームと、デザインと製作の両方の立場からスタッフと共に幅広く手掛けている。



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