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ホーム > モノ作りの現場から > STANDARD TRADE. 渡邊謙一郎 #012



今回は最近のお仕事から2つ程抜粋して、それについて考えてみる。









1ヶ月くらい前に納めさせていただいた T邸。
4年くらい前に、ある有名インテリアショップに
内装含めて家具まで一式そろえていただいたそうでした。
ただ、4年たってもいっこうによくならない愛着がわかない。
味は出ないし、ボロボロになるいっぽう。
手入れの問題も多少はあるにせよ、
使っている素材の選択が悪いし仕上げも悪い。
おまけに現場の取り付けは乱暴、乱雑。
お客様にわかりづらい場所なんかは目も当てられないし、言えない。

そのことはお客様には言っていないが、
今回はだんだん良くなっていく家具を設えたいということで
すべての家具交換で簡単リフォーム。

お客様の要望は「機能的で長く使えるもの。
それでいてシンプルすぎずに雰囲気のあるもの。」
このテーマは僕も日々大切に考えていたことで
時間のかかることなので非常に難題。
ただ、「長く使えるもの」というところに焦点をあてて
お客様と話し合っていくと、
こんな考え方、とらえ方もあるということが共通した。
長く使えるものというのはただ丈夫ということだけではなくて、
できるだけ長く使いたいというその意志を
時間と共にそのもの達に転写していく作業が必要で、
結果として長く使え、代わりを探すことがなかった。
と、こんなとらえ方もできるのではないかと。
ワックス等で手入れをしながらメンテナンスを加えながら使っていく。
また、それ以前やれることは
そんな家具を考える時間と労力を惜しまないことかもしれない。
時間の経過についていける家具、目指します。











3階建てを自由設計で自由に建てたH邸。
この方はさんざんいろんな家具屋さんをまわってしまって、
デザインの部分で迷ってしまったお客様。
そんなときに以前僕が住宅のリフォームをやらせていただいた
お客様に相談したらしく、任せちゃえば?の一言で
気が楽になり御来店。
建物は半分以上できているので置き家具のみで構成。
ここでは各階用途がバラバラなので
家具のディテールにあるルールをつくり、
それを基本として機能面で形状を構成。
お客様にはわかりにくいかもしれないが、
ここの家具はある一定のルールにのっとってつくられている。
形状や仕上げを変えながら時間をかけてひとつひとつ製作し、
納めているのだが最終的にこの家にはいるとしっくりくる。
ディテールからはじまるトータルデザインまたわるくない。



渡邊謙一郎 (1972生)
神奈川大学工学部建築学科を卒業後、品川職業技術訓練校木工技術科へ。
(株)ユナイテッドパシフィックス、(株)日進装備にて特注家具製作を学ぶ。
1998年春、千駄ヶ谷に特注家具製作所として STANDARD TRADE. を創立。
2000年冬、横浜に自社工場を設立。
2002年夏、東京都目黒区に事務所移転と共に有限会社スタンダードトレード設立。
2003年秋、目黒区五本木にオリジナルショップをオープンさせる。以後、個人住宅用の家具を中心にオフィス、店鋪等のデザイン設計施工、住宅のリフォームと、デザインと製作の両方の立場からスタッフと共に幅広く手掛けている。



#034 2007.08 結論
#033 2007.06 自分の使用する材料
#032 2007.05 椅子の修理・張り替え
#031 2007.04 建築パーツ
#030 2007.03 飯田水引
#029 2007.02 神戸の現場
#028 2007.01 床塗り
#027 2006.12 定番商品
#026 2006.11 小物製作
#025 2006.10 どうなっていくか
#024 2006.09 Bayon(バイヨン)
#023 2006.08 細部に手を入れる
#022 2006.07 継ぎ手と見た目とその工夫
#021 2006.06 細くなる材料
#020 2006.05 繰り返し繰り返し
#019 2006.04 家具はメンテナンスフリーではない
#018 2006.03 経験の幅
#017 2006.02 訓練校
#016 2006.01 シンプルに。
#015 2005.12 ビンテージオーディオの修復
#014 2005.11 修理から学ぶ
#013 2005.10 刃物から
#012 2005.09 家具へのアプローチ
#011 2005.08 木製フローリングの伸縮
#010 2005.07 なべぶた
#009 2005.06 わからない程度の調色
#008 2005.05 複製によってわかる事
#007 2005.04 家具から内装へ
#006 2005.03 手に入る材料と向き合う
#005 2005.02 正確な板材から
#004 2005.01 ドアノブプレート
#003 2004.12 木材塗装の退色について
#002 2004.11 special source モリソン小林
#001 2004.10 展示会