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ホーム > モノ作りの現場から > STANDARD TRADE. 渡邊謙一郎 #021




















今回は、たびたび僕のコラムに出てくる材料の話です。

「 木材の幅 」
僕はこの職種についてちょうど10年を過ぎ、
その十年間ほとんどナラ材で木製家具をつくっています。
はじめた10年前と比べて材料の幅が
年々細くなってきているように感じる。
通常うちで使用するなら材は厚さ、幅、長さ
(例 33ミリ×190ミリ×3300ミリ)を大まかに指定し、
その寸法にちかくて家具材として使える、
しっかり乾燥したモノや人工乾燥にいれたものを使用しています。
その使用しているなら材の幅に変化が出ているのである。

例にも挙げたように幅190ミリを指定して材料を探すと
以前までは180ミリ〜220ミリくらいの幅の材料が
手に入っていたのだが、今は170ミリ〜190ミリくらいの
幅のモノが増えてきました。
たった20ミリだが、僕には大きい。

「コストバランス」
当然、材料は太い木から切り出すモノもあれば、
細い木から切り出すモノもあるので、
幅広の材料が手に入らないということではない。
幅広の材料も探せばもちろん手にはいる。
ただ、コストバランスが悪いのである。

材料の金額は厚さや幅が大きくなればなるほど
比例していくのではなくて、厚さや幅が大きくなると
極端に高くなる場合もある。

頻繁に流通している材料がコストバランスが良いのである。
その頻繁に流通しているコストバランスの良いものを使用して
木製家具をつくっているのですが、
最近、そのコストバランスの良い材料が細くなっているのである。

つまり一般的に流通している材料の幅が
細くなってきているのである。
これは何を意味しているかと言えば、
幅広の材料が少なくなってきているのである。

もっと引いた目で考えてみると
太い木を育てられなくなっているのである。
つまり、伐採するスピードが速まっているのである、、、。

「手に入る材料が細くなってきている」
いろいろな現状があることなので
ここではあまり深くはつっこんでお話しはしませんが、
こういった現状に僕たちは向き合っていかなくてはならない。
昔とは違う木材とのつきあいかたをしなくてはならないのである。
以前にもお話しした悪い材料を向き合う話と同じなんですが、
細くなっていく材料ともきちんと向き合わなくてはならないと
僕は考えています。

「参考」
写真は僕のお店で売っている定番商品の
WOOD BENCHなんですが、
以前は幅180ミリで製作していました。
これは「 手に入る平均的な材料で加工種類や加工数を
できるだけ減らして椅子(ベンチ)をつくる 」と言う
考えの基に成り立った商品で、
今現在は175ミリの幅で製作している。

「マイナーチェンジ」
3年に1回僕のお店で売っている定番商品は
1ミリ〜5ミリ程度調整してマイナーチェンジをしている。
もちろんデザインのリフレッシュや再考もあるのだが、
一番大きいのは材料との関係である。
その時代に手に入りやすい材料で
木製家具をデザインし製作する。
時代にあったデザインをするのではなくて時代にあった寸法にする。これからの木工業界に大切なことだと思う。
闇雲に決めてはいけない。
細くなる材料と向き合う、手に入りやすい材料と
きちんと向き合う。こういったことを僕は大切に考えている。



今回の展示会に出す家具は
できるだけ木材を少なくして、製作しています。
木製の家具はどうしても厚さや幅をおさえると
強度を保つ事が困難になってしまいます。
そういった場合、通常なら強度を確保するために
筋交いのようなもので木材同士をつなぎます。
本来ならその強度をますための材料は
角木や背板などのように表に出てこないのですが、
今回はあえて、その木製家具の要である
強度を確保する材料に装飾性を持たせました。
現代手工業仲間のパーツに支えられている
スタンダードトレードのきゃしゃな木製家具、
どうぞ楽しみにしていて下さい。



渡邊謙一郎 (1972生)
神奈川大学工学部建築学科を卒業後、品川職業技術訓練校木工技術科へ。
(株)ユナイテッドパシフィックス、(株)日進装備にて特注家具製作を学ぶ。
1998年春、千駄ヶ谷に特注家具製作所として STANDARD TRADE. を創立。
2000年冬、横浜に自社工場を設立。
2002年夏、東京都目黒区に事務所移転と共に有限会社スタンダードトレード設立。
2003年秋、目黒区五本木にオリジナルショップをオープンさせる。以後、個人住宅用の家具を中心にオフィス、店鋪等のデザイン設計施工、住宅のリフォームと、デザインと製作の両方の立場からスタッフと共に幅広く手掛けている。



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#033 2007.06 自分の使用する材料
#032 2007.05 椅子の修理・張り替え
#031 2007.04 建築パーツ
#030 2007.03 飯田水引
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