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ホーム > モノ作りの現場から > tower 室愛彦 #038





土手内の人達は8月はバカンス気分で仕事を控えめにします。

昼食後は海水浴場に少し寄り道して帰ります。

いつも慣れ親しんで通っている北条の名店「うどん屋」に
今日はヤノッチと加納くんとハイエースにのって昼食に向かいました。

うどん屋の駐車スペースはあまり広くはなく、
キチンと並べてクルマが4台しか停められません。

うどん屋ファンの北条ローカルはそれがわかっているので、
端っこギリギリから詰めて後から来た人も
4台は停められるようにキチンと並べるのがルールです。
もしも4台停まっていれば満車ということで諦めるのですが、
この日は車2台で残りのスペースに1台も停められない
状況になっていました。

1台はキチンと端っこにまっすぐ駐車されているのですが、
もう1台の相模ナンバーの車が真ん中に
中途半端な位置に停めてしまっているのです。

正義感の強いヤノッチはこういうルール違反を
許せない人なので「ちょっと言うてきましょわい。」と言って
飛び出して行きました。

ハイエースを県道沿いに停め、しばらく待っていると、
ヤノッチがおじさんを連れ出してきて、
クルマの置き方を指示しています。

ヤノッチは今年の夏は土手内の中で最も海で遊んだ人で
近所の漁師さんよりも黒くなっていて、
いいサングラスをしているのですが、
それのために風貌が一般の人ではなくなってしまっていました。

後からくる人のことを考えてくれなかった
「うどん屋」ビギナーのおじさんが悪いことは悪いのですが、
ハイエースから見ていると、
コワイ人が善良な市民を脅しているかのようです。

ぼくもこんな人にいきなり声をかけられたら
「ひぃ〜な、なんでしょう?」と言ってしまいます。




何かをデザインするとき、デザイナーの人が意識していなくても
何かに似てしまったり、何かを連想させてしまうことに
なってしまうと失敗と言っても過言ではないと思います。

ちょっと前にあるメーカーから発表された車が
特徴的なヘッドライトの形がそうさせるのだと思うのですが、
バカボンに出てくる警官の顔に見えてしまったのです。

その車は性能も良く、全体的にはモダンなデザインで
お洒落な婦人をターゲットにしているとも聞いた事があります。

ただ、ライトの形だけが、バカボンの警官の目とソックリで
ぼくはその車を見るとどうしても彼を思い出してしまいます。

発表前に誰かがこの車はバカボンの警官に似ているから
ヘッドライトの形を変更しましょう
と言う人はいなかったのでしょうか?

デザイナーがすでにバカボンを知らない世代だったのか、
社長が外国人でバカボンを知らなかったから
ゴーを出したのかもしれません。

ぼくのように思う人が少数派であれば
売れ行きに問題がないかもしれませんが。


加納くんが装着したサングラスは
どうしてもタモリさんを連想させてしまいます。

デザイナーの人が意図してこうしたのか、
偶然なったのかわかりません。




ぼくの母校である鴨川中学校のサッカー部の10番
を背負うのはゆういちろうくんです。

ゆういちろうくんは松山市内では強豪の部類にはいる
久枝小学校で一年生の頃からサッカーを始めました。

レギュラーを目指して頑張ったゆういちろうくんでしたが、
5年生のとき腰を痛め、泣く泣くサッカー部を辞めました。

腰を完治させ、中学生になったゆういちろうくんは
再びサッカー部に入部します。

またイチからのスタート。

ゆういちろうくんは控え組から休まず地道に練習をし、
2年生になると左DFとして少しずつ試合に
出られるようになってきました。

夏休みの終わりに三年生が去ったあとの新しいチームの
初めての大会の前、コーチからのメンバー発表のとき、
ゆういちろうくんはDFで名前を呼ばれませんでした。

やはり控えかと肩を落としかけた次の瞬間、
ゆういちろうくんは10番、FWで名前を呼ばれたのです。

ビックリしたゆういちろうくんでしたが、大会はすぐに始まります。

鴨中は予選を1位で通過。
トーナメント戦でも勝ち進みベスト8を争う戦いで
強豪の三津中を1−0で撃破!
しかし次の相手は優勝候補のクラブチーム「帝人」です。

帝人にはかつての久枝小時代のチームメートで
仲良しだったケンゴくんたちもスタメンに名をつらねています。

両チームが整列をして向かい合ったとき、
一人違いナナメの位置にいたケンゴくんは
隣のチームメートを抑えてゆういちろうくんに
握手を求めてきました。

いよいよ試合開始。

予選で小指を踏まれ負傷していたゆういちろうくんでしたが
強力な相手を前に前線で奮闘します。

しかし帝人の圧倒的な戦力に残念ながら屈してしまいます。

地元の子供達だけで結成されている鴨中ですが
ベスト8の大健闘でした。




オーシャンズの住人、戸田くんは
今年の夏は仕事が大変忙しく、ほとんど遊んでおりません。

土手内の人の中で際立つ肌の白さがそれを物語っています。

今日は夏休み最後の日曜日です。

夏らしいことを全く出来ていなかった戸田くんは
今日だけは土手内の夏を楽しもうと前々から話をしていました。

それでも昼過ぎまで仕事をし、急いで土手内に帰って来て、
夕方から加納くんやヤノッチたちとバーベキューをやりました。

「夏!最高すね!これこれ!」

戸田くんは海パンになり、ビールを沢山飲み、上機嫌です。

ヤノッチがサーフボードで海に入ったのに続き、
戸田くんもサーフボードにのって海に入って行きました。

「ひゃ〜冷たい!気持ちいい!」

僕らは防波堤から楽しそうな戸田くんの様子を見ていました。


「最高!ラストサマーやったー! あ!ポケットに携帯入ってる!」



室愛彦 (1970生)
愛媛県松山市出身
1996年株式会社イデー入社。
退社後、松山に戻り2004年tower設立。
木工職人の今村 則之、椅子張り職人の白方 伸定とともに、家具の受注生産を行っている。



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