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ホーム > モノ作りの現場から > tower 室愛彦 #033





BOLTさんがプロデュースしたネジマキカフェがオープンしました。

BOLTさんは建物のデザインをし、
ドア、窓、家具などをフランスで買い付けてきて
それを組み込んで独特のお店や家をプロデュースしています。
じつは僕と同年代で同時期に東京にいて、
環七とR246の交差点にあるギャロップというお店で
インテリアの仕事をしていたまさに同志なのです。
ネジマキカフェで圧巻だったのはモルタルを塗って
コテで石のように固く、ツルツルに光沢が出るまで擦り、
まるで油絵のような表情を出す技法。
これは相当な労力が要りますが、
カウンターにこの技を使い、店内の壁、とうとう外壁まで
BOLTのオカモトさんが仕上げてしまいました。
オカモトさんはけんしょう炎になったそうです。
図面や、なになに仕上げでといった言葉で
職人に指示できる代物ではないこと、
擦って擦ってけんしょう炎になるほどに
身を削ってできたところから
これは芸術だと言ったら大袈裟でしょうか?
それほど気合いが入っていて、僕は刺激を受けました。
僕がオカモトさんを褒めると照れ隠しなのか、
かぶせるようにオカモトさんも僕を褒めようとします。
BOLTさんとTowerは我が道を進みながらも
お互いが高め合える仲になれたらいいなと思っています。



僕はBOLTさんの石のようなモルタルのカウンター
のカッコ良さに影響されてパクってしまいました。
全くの見マネで成功率は半々かな〜
と思いながらやってみると失敗作になりました。
塗り方、仕上げ方、モルタルの材料選びから配合の仕方、
全部が違っているような気がします。
成功率50%と言いながらチャレンジした天板の小ささが
自信の無さを物語っていました。。
でも色は面白いので残しておきます。
今は少し忙しいのでヒマになったら
またチャレンジしたいと思っています。



本家BOLTさんの作品はこれです。
少しはでこぼこがあるのかなと思っていたら
真っ平で触ってもツルツルで、なのに色の濃淡があります。
ツルツルなのは何かでコーティングしたのではなくて
モルタルを光りはじめるまでひたすらコテで擦ってやったのです。
光れ泥団子の要領だそうです。
角のところは6Rくらいの面取りがなされています。
まるでルーターをかけたように均一です。
これをコテだけの道具で手で作ったのです。
技術と根気の詰まった凄い作品です。
新しいとか古いとかでなく採算度外視で
思うものができるまでひたすら手をかける。
決してマネのできないもの。
疲弊したインテリア界ですが、
BOLTさんのやっていることに
何かヒントがあるかもと思ったりします。

僕のマネしたカウンターはデコボコで角が尖んがっていて
表面が鮫肌で触ると寒気がします。
酷いものですが、BOLTさんがどんなに凄いか
自分にしらしめるためもう少し置いておきます。
忙しくてどうにもできないのもあるのです。



NHK松山放送局のアナウンサー、フルヤさんが
3月いっぱいで東京に帰ってしまうことになりました。
4年前に東京から松山に赴任してきて、
夕方の地元情報番組の「いよかんワイド」の
メインキャスターをつとめてくれました。

フルヤさんはTowerにもちょくちょく来てくれて
「ここは本当にいいところです。住みたい。」
と何回も言っていました。
来る度にあまりに北条のことや
Towerのことをベタ褒めしてくれるので
本心かなとちょっとだけ思ったこともありましたが、
長く付き合っているうちにフルヤさんは
本物の純心の持ち主だということがわかりました。
北条だけでなく愛媛の良いところを探して
全力で駆け回ってくれたのです。

フルヤさんの住まいでのお別れの会に呼んでいただきました。
趣味のマジックも披露してくれました。
音楽を変えたりするのも全部フルヤさん一人で
バタバタとやっています。
マジックの終盤にフルヤさんはマジで語りはじめます。
「ぼくがマジックを始めたきっかけは小学2年生のとき、
あるおじさんのマジックを見て感動したからです。
そのおじさんに教えてもらってハンカチがタマゴにかわるマジックを
おこずかいを貯めて300円で買ったのが最初です。」
プラスチックのタマゴの形をしたやつに穴が空いていて
そこにハンカチを隠すしくみになっているのを見せてくれます。
「マジックには全部タネがあります。
でもそのおじさんはこう言うんです。
『タネはあるけど奇跡が起こると信じてやりなさい。』と。」
そう言いながらフルヤさんがそのおもちゃのタマゴを
コップにコンコンとやるとおもちゃのはずのタマゴから
生卵が出てきたのです!

奇跡が起きた・・・。

フルヤさんは免許がないのに車を買ってしまった
ミラクルな男です。

東京に帰ってもお元気で。


室愛彦 (1970生)
愛媛県松山市出身
1996年株式会社イデー入社。
退社後、松山に戻り2004年tower設立。
木工職人の今村 則之、椅子張り職人の白方 伸定とともに、家具の受注生産を行っている。



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