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こんにちは。
今回からファクトリーガールの連載に参加することになりました、佐藤です。
どうぞ、宜しくお願いします。

今回は初回ということで、自分について書かせてもらいたいと思います。
私は、特に人と変わったことをしてきたわけではないのですが・・・。
自分が何をして生きていきたいのかということは、いつも考えてきたつもりです。
私の今まで過ごしてきた流れや、迷ったこと悩んだことは、
ものを作っていきたいと思う女の子が一度は考えることじゃないかと思います。
これから、私がものづくりを続けていく為にどんな選択をしたかなど、少しご紹介します。
私もまだまだ探りながら進んでいる途中ですが、
少しでもものづくりをしている女の子の役に立てばいいなと思います。


大学2年生のとき。

私の家庭はごく一般的なサラリーマン家庭です。
家族がものづくりに携わっていたわけではないので、
「三歳のころから、金鎚を持ってました」、
なんて、まずあり得ませんでした。

走り回ること、それから、絵を描いたり
粘土で動物や人形を作ることが大好きな普通の女の子。
唯一覚えていることで、
これは後のものづくりに影響したかな?ということと言えば、
いつも髪の毛を自分で結っていたことぐらいです。
私の母は、髪の毛をあまり伸ばしたことがなかったようで、
自分はもちろん、子供の髪の毛を結うことなど
到底できなかったようです。
お友達のかわいい髪型にとても憧れていた私は、
こうなったら自分でやるしかないと決意し、
見よう見まねで色んな結い方に挑戦したものです。
今思うと、かなり斬新な髪型だったのではないかと・・・。

そんなことで、高校に入り進路を考えたときも、
つくることに興味があり、美術大学に進むことにしました。


大学4年生。鍛造の作業場にて。

大学では課題はありますが、
比較的自由にものを作ることが出来ました。
ただ、使える素材はほぼ金属のみ。
金属専攻で大学に入学したので、当たり前なのですが。

大学4年を目の前にして、やはり壁にぶつかりました。
まず、自分は将来何をしていきたいのか。
大学では金属を使ってものを作ってきましたが、
これをどうずれば仕事に生かせるのだろう。
大体、金属が自分にあっている素材なのかも確信が持てません。
考えれば考えるほど、あやふやになっていきます。
迷いながらも就職活動をしてみましたが、
どうもしっくりくる会社、部署を見つけられず、
前に進めずにいました。


現在のアトリエ外観。

ただ、そんな中、自分の考えるものづくりとは、
自分のアート作品を作っていきたいという感覚とは違う、
そうかと言って、一つの工程の専門者を目指す
ということとも違っていました。
何かを考え、何かをつくり、それを世の中で生かしていくこと、
そういう一連のことに興味がある、
そのことだけはわかっていました。

そうこうしているうちに月日は過ぎ、卒業が近づき、
焦燥感だけが募る中、知人の助言で、
とにかく町を歩いてみることを始めました。
それは、インテリアや雑貨の店を一軒ずつ回り、
その店について感じたことをメモしていく、というものです。
単純なことですが、結構疲れるもので、
毎日足が棒になったことを覚えています。

けれど、そうすることで、自分がどんなもの、
どんな雰囲気が好みなのかという、
自分の興味の方向を客観視でき、
再確認することができました。
また、お店のスタッフの方と話をする機会を持ち、
その方々が商品のことについて様々な知識を持っている
ということに気付きました。


ただいま製作中のスプーン。

最初は、お店に売っている小物を観察し、
それを作っているところを調べて、
作りの仕事をすることを考えていたのですが、
いつからか、お店で働き、学ぶことが、
ものづくりをしていく上でとても役に立つのではないか
と考え始めました。

その頃の自分は、誰かのために、どこかのために
ものをつくるということを考えたことがありませんでした。
しかし、お店では、実際に誰が使うのかということが
一目瞭然であり、お客さんはとてもシビアにものを見ています。
作られたものを理解し、
喜びや楽しさをいろんな人に伝える術を知ることが、
自分が今後ものづくりをしていく上での
核になるかもしれないと思いました。
そして、自分たちの考えを形にし、
実際使う人々に届けることまでを行っている会社を探し、
無事就職を果たしました。


アトリエ内の「なまし台」

就職後は接客することでお客様の声を直接聞き、
インテリア小物の開発にも携わる機会を与えてもらいました。
沢山のことを学びながら、ものづくりには、
色々な関わり方があるということを知りました。
企画、デザイン、管理・・・。
しかし、会社の中でのものづくりには、制作はありませんでした。
制作を依頼することが作ることなのです。
私は就職をして、会社で仕事をさせてもらうことにより、
自分が素材に触れながら作っていくことが好きなんだ
ということに改めて気付きました。
そして、素材を使ってつくることを始めようと決意しました。

私が今、自分の手を使って、
素材に触れながらものを作っている理由、
それは、素材が好きということに始まります。
素材に手を触れて観察していると、
絵を描いているだけではわからないことが、
わかるような気がします。
私がこの手で伝えられることもやはり、素材が好きということ、
素材の良さを伝えることなのだろうと思います。


定盤とベルトサンダー
私は特に金属が好きなのですが、
理由は・・・正直、感覚的なところが大きく、
その重さや強さや光り方など、
金属特有のものが関係しているのでしょう。
とにかく私はとても魅力的な素材だと思っています。
ですから、金属っていいでしょ?ステキでしょ?
ということを伝えたい。
それを、どんな風にしたらうまく伝えられるのだろう、
そんなことを考えながら、いつもものを作っていますし、
これからも決して忘れてはならないことだと思っています。

ちょっと長くなってしまいましたが、私はこんな流れで今に至ります。
これからも初心を忘れず、けれど沢山のことを取り入れながら、私なりにものづくりをしていきたいものです。

世の中には沢山のものづくりをしている人々がいます。
私の連載では、女の人の視点でのものづくりというところで、色々とご紹介していきたいと考えています。

楽しい読み物にしたいと思っていますので、みなさま、どうぞよろしくお願いします。


hitin metals (ヒティン メタルズ) 佐藤江利子

2006.12 旅行先のベトナムにて
所在地 埼玉県さいたま市緑区
業務内容 金属を使ったテーブルウェア、
及びインテリアのデザイン・製作
MAIL es@hitin-metals.com
URL http://www.hitin-metals.com
略歴
佐藤江利子(1978生)
2002 武蔵野美術大学造形学部
工芸工業デザイン学科 卒業
2002 株式会社プレステージジャパン 入社
TIME&STYLEにてオリジナル家具の販売、
インテリア小物の仕入れ・開発に携わる
2006 hitin metals設立



#12 2008.01.01 竹影堂 鎚舞
#11 2007.12.01 ザビエル現る!
#10 2007.11.01 光りモノには弱いです。
#09 2007.10.01 秋に思うこと
#08 2007.09.01 ホットな毎日です。
#07 2007.08.01 海辺に暮らしたい
#06 2007.07.01 金属とガラスと・・・
#05 2007.06.01 つゆ・梅雨・露
#04 2007.05.01 糸ノコの話
#03 2007.04.01 あらためて おもうこと
#02 2007.03.01 テーブルセッティング
#01 2007.02.01 はじめまして。