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私はよく、金属でテーブルウェアを作る仕事をしています。
スプーンやお皿などを作る上で大きさや用途を考えるのですが、
私たちは日ごろ、本来のテーブルセッティング様式からしてみるとだいぶ少ないアイテムで食事をしています。
もちろんここは日本ですので、基本的には和食が中心です。
食卓で洋式のテーブルセッティングをきちんとしている家庭はかなり少ないと思いますが、
たまに洋食のディナーを食べるような時、びっくりするくらい沢山の食器類が出てきて戸惑ったりしますよね。
なんだかよく解らないけれど、とりあえず外側から使うんでしょ、料理をおいしく食べられればいいじゃない、
というぐらいの気持ちで使ってしまいがちですが、そんな脇役のアイテムももちろん、
色々と考えてテーブルに置かれています。

今回はテーブルセッティングについて少し書いてみようと思います。

テーブルセッティングは、前もって置いてある食器の並べ方のことを言います。
食器類は大きく、陶磁器(お皿など)、コップ類、ナイフ・フォークやバターボール類に別けられ、
その形は国によって違いがあり、同じ国でも時代によって異なってきます。
主なセッティングには以下のようなものがあります。
・フランス古式(1600〜1700年代)
・フランス準古式−セザール・リッツ式(1880年頃〜)
・イギリス準古式(1890年頃〜)
・英米戦前式(1930年頃〜)
・現代アメリカ式(1950年頃〜)
・現代日本式(1960年頃〜)

どの時代の様式もだいたい使う食器類は同じなのですが、
それぞれの時代の食事の仕方によって、種類や数が異なってきます。
比較的古い時代は、食前酒とオードブルを別室で取ったり、
パンは直接テーブルに置いたりしたので、食器類は現代のセッティングよりも少なかったようです。
英米戦前式時代頃からはデザート用の食器も前もってテーブルに並べるようになり、
テーブルに置かれる食器の数が増えていったようです。


友人の結婚式のテーブル風景



テーブルセッティング



ウェディングケーキ



居酒屋さんにて



和定食



喫茶店にて

今回は先日行ってきた友人の結婚式のときの
テーブルセッティングを例におおまかにですが、
それぞれの食器をご説明します。
この時のセッティングは現代日本様式を料理に合わせて
崩した形だと思います。
グラスは、食前酒用のタンブラー、乾杯用のシャンパングラス、
料理に合わせての白ワイングラスと赤ワイングラスの4種類。
シルバー類は、外側から、デザート
(オードブル用のナイフ・フォークのことを言います。)が二組と、
スープ用、フィッシュ用、ミート用が並んでいます。
料理皿の上に横に並べてあるのが
フルーツやケーキ用のフォークで、
その上側に置かれているのが、バターボールです
(パン皿と兼用させているようでした。)
シルバーをデコボコとさせた置き方には
特にきまりがあるわけではなく、
テーブルセッティングを美しく見せる工夫のようです。
今回の結婚式は、テーブルに7人分のセッティングをしてあったので、
少しこじんまりと置かれていますが、
通常は、上であげた食器類の他、
ゴブレットやリキュールグラスが
一緒に置かれたりすることもあります。
フォーク・ナイフ類は基本的にはこれ以上
食事の前に置かれることはなく、
足りない時は料理を出す直前に置かれます。
お皿類はこの他、パン皿やサラダ皿が
事前に置かれることがあります。

一通りのお皿を並べたとすると、
グラスは6種類、フォーク・ナイフ類は15本前後、
お皿は3枚程度が料理の前に並べられることになります。
かなりボリュームがあり、どんな料理が出てくるのか
とても楽しみになります。
しかし、欧米の大きい作りの家具やテーブルには
ぴたりと来るのでしょうが、
日本の料亭や家庭にこの様式はちょっと違和感がありますね。
家具などの大きさもさることながら、
真っ白い食器にピカピカに磨き上げられたシルバーを
シンメトリーに置くことが、日本古来の文化との違いを感じます。
何か特別な日であればこのようなテーブルセッティングを
してみることも良いかと思いますが、
いつもの食卓ですることはなかなか難しいですね。
しかし、今の日本には沢山の国の料理の文化が入ってきており、
毎日和食を食べているという人は少ないと思います。
家庭でも、みなさんいろんな国から来た料理を
作っていることでしょう。
そんな時、どんな食器を使っていますか?
基本的には和食器が多いけれど、
色や形で洋食、中華、アジア料理を盛ったりしている、
という方が多いのではないでしょうか。
そのような使い方が、ごく自然ではないかと私は思います。
料理の味も、食器も、外から入ってきたものを
そのまま取り入れるのではなく、
日本の解釈をし、日本らしいものに変えていくことが
とても大切で面白いと思います。
ただ、どんな風に崩していくかを考えるとき、
正式なものを知っておくと自分なりのテーブルセッティング
にも幅がでてくるのではないかと思います。
毎日の食卓で、かしこまったテーブルセッティングを
する必要はないと思うのですが、
ちょっと並べ方を変えることによって
料理もよりおいしく見えたりするものです。
食器を並べるときに、本来はこのようなテーブルセッティングが
あるのだなぁぐらいに思い出してもらうと、
より食卓を考えることが楽しくなるのではと思います。

(「作法心得」林實 著 参照)


hitin metals (ヒティン メタルズ) 佐藤江利子

友人の結婚式にて
所在地 埼玉県さいたま市緑区
業務内容 金属を使ったテーブルウェア、
及びインテリアのデザイン・製作
MAIL es@hitin-metals.com
URL http://www.hitin-metals.com
略歴
佐藤江利子(1978生)
2002 武蔵野美術大学造形学部
工芸工業デザイン学科 卒業
2002 株式会社プレステージジャパン 入社
TIME&STYLEにてオリジナル家具の販売、
インテリア小物の仕入れ・開発に携わる
2006 hitin metals設立



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