モノ作りの現場から(アーカイブ) | 読みモノ(アーカイブ) | 最新のコンテンツはこちらです
ホーム > 読みモノ > FACTORY GIRL ファクトリーガール > 佐藤江利子





糸ノコとは文字通り、細い歯のノコギリです。


糸ノコ


糸ノコ歯部


糸ノコ弓部


糸ノコ用すり板


(1)原稿にのりを吹き付ける


(2)原稿を貼り付ける


(3)ノコ歯を通す穴をあける


(4)糸ノコをセッティングする


(5)糸ノコを引く


(6)文字を抜き終えた所


(7)周りを整える


(8)完成

簡潔に説明すると、素材を切断したり
模様を切り抜いたりする時に使う道具、です。
本体に歯をつけ、手で引いていく
(糸ノコの場合「切る」ではなく、「引く」といいます)のですが、
本体(弓)や取り付ける歯にいくつか種類があります。
分厚い素材を切る時は太い歯を、
薄い板や細かい模様を抜く時は細い歯を、
など作業に合わせて本体と歯を選んで使います。
(昔は、どの職人も、糸ノコの弓と歯を自分で作ったそうです。)
糸ノコは、彫金など細かい仕事には欠かせない
道具のひとつなのです。

ところで、糸ノコ引きは、書道に似ています。
書をかく人を見て、ふとそんなことを思いました。

先日、街を歩いていたときのこと。
路に面したガラス張りの建物の中で、
若い女の人二人が書道をしているのを見かけました。
多分、その空間で展示か何かをするようで、
デモンストレーションみたいなかんじで書いていました。

町を歩いている女の子と変わりないファッションで、
おもむろに書き進める姿を見て、
最初は何だか適当に書いているように思えました。
でもよく見ると、その表情にはある種の集中力があり、
「あ、このかんじは覚えがあるぞ」と思ったのです。

糸ノコ仕事は一発勝負。
それが、書道と似ている所です。
でも、単に一発勝負なだけでは、
他にもやり直しの効かない作業は沢山ありますから、
別段取り上げることもないです。
私が糸ノコと書道が似ていると思うところは、
その勝負の仕方です。

例えば、鉄を熱間処理したり、
ガラスを吹いたりする場合は、
形を作れる時間が限られているので、
瞬時に高い集中力を必要としますね。
一方、糸ノコや書道は、
それほど時間に迫られているわけではない。
その代わり、一度スタートしたら、
ある一定の集中力を継続して出していく必要があります。
焦りは禁物、余計な力は抜いて、
少しゆっくりなぐらいで進めていきます。
そして、一番大切なことはリズムだと思います。
大きなラインや細かい模様に合わせながら、
テンポ良く根気よく進める。
途中で止まったりしないように、
先をイメージしながら手を動かしていく。
少し時間をかけて作る分、
このリズムが狂うと全体がバラバラした印象になってしまいます。

動作は単純なのですが、
二つとも、なかなか難しい作業だと思います。
なんて偉そうに言っていますが、
私、書道は全然できません。
でも、書をかく時ってこんな感じじゃないかなぁ
なんて勝手に思いつつ、
えいと糸ノコ引きに向かった今月でした。



hitin metals (ヒティン メタルズ) 佐藤江利子

所在地 埼玉県さいたま市緑区
業務内容 金属を使ったテーブルウェア、
及びインテリアのデザイン・製作
MAIL es@hitin-metals.com
URL http://www.hitin-metals.com
略歴
佐藤江利子(1978生)
2002 武蔵野美術大学造形学部
工芸工業デザイン学科 卒業
2002 株式会社プレステージジャパン 入社
TIME&STYLEにてオリジナル家具の販売、
インテリア小物の仕入れ・開発に携わる
2006 hitin metals設立



#12 2008.01.01 竹影堂 鎚舞
#11 2007.12.01 ザビエル現る!
#10 2007.11.01 光りモノには弱いです。
#09 2007.10.01 秋に思うこと
#08 2007.09.01 ホットな毎日です。
#07 2007.08.01 海辺に暮らしたい
#06 2007.07.01 金属とガラスと・・・
#05 2007.06.01 つゆ・梅雨・露
#04 2007.05.01 糸ノコの話
#03 2007.04.01 あらためて おもうこと
#02 2007.03.01 テーブルセッティング
#01 2007.02.01 はじめまして。