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ついに今年も師走です。

今月は、モノ作りを頑張っている友人を紹介します。




sata-shop galleryでの個展より
冨沢恭子さんのかばん


かばん本体は柿渋染め、持ち手は革を使っています。


韓国のお坊さんの袈裟の生地を好んで使っているそうです。
染める前は柔らかな生地も、柿渋により、革のような質感に。

彼女の名前は冨沢恭子さん。
同じ武蔵野美術大学出身で専攻はテキスタイル。
学部卒業後、大学院進学を経て、
現在はテキスタイル作家として活動しています。


学生時代はタペストリーやオブジェを中心に制作していたそうです。
現在は袋もの(バッグなど)メインで、
アクセサリーやテーブルウェアを制作。
年に一度程、タペストリーなどの平面作品の展示会をするとのこと。


個人の作品を制作、発表することと平行して、2004年より、
ムサビ時代の同級生4人で「sunui」としても活動中。
こちらは4人で買い付けの旅に出て見つけてきた素材を使って、
バッグやアクセサリーを制作、販売している「旅する雑貨屋」。
各地のギャラリーにてsmile market sunuiを開いてまわっています。
また、企画展参加、カレンダーやCDジャケットなどの
アートワーク、空間演出など、幅広い活動を行っています。


彼女個人の作品に必ずと言っていい程使われているのが、
柿渋染めです。
柿渋染めとは、渋柿の汁を自然発酵して作る染め液で
染色する方法です。
柿の渋に含まれるタンニンを使ったもので、
布を液につけ込んでは天日干しします。
太陽光で乾燥させることによってゆっくりと発色し、
大体7日間ぐらいで味のある茶色に染め上がります。
太陽の光を十分に浴びて染められるので、
別名「太陽染め」とも呼ばれています。


この染色は、生地の色だけではなく、
生地の質感まで変えていきます。
染め上がった生地は、
元よりもしっかりとしたごわっとしたものに変わります。
柿渋染めは、防水、防腐効果、
繊維の収斂性(引き締める性質)を上げ、
生地の強度を増すなど、様々な効果があります。
昔から漆器の下地、
漁網や酒袋に使われその効果を発揮するなど、
人々の生活の中にあった染色方法のようです。



真ん中右の白いシャツの方が冨沢恭子さん


東中野のkosumiでの展示会、「note」に参加した時のもの。
手帳カバー。




ノート


柿渋染めの色見本





彼女がこの染め物に出会ったのは、とある骨董市だとか。
柿渋で染められた酒袋を見て、
その素材感と色に一目惚れしてしまったとのこと。
それ以来、柿渋染めで作品を作る生活が始まったようです。


彼女の作品は、茶色のグラデーションが本当に美しい。
液の濃度や、日照時間、液に金属を混合することなどで、
少しずつ色と質感を変えています。
基本的には茶色の色相のみの展開にも関わらず、
その色に鮮やかさすら感じます。
パターンを引かずに形作られたバッグや小物は、
絵を描いたような独特の立体感を持ちながらも、
使い勝手がよく、生活の中で活きてくれます。
もちろん私も一つ、彼女のバッグを持っていますが、
生地も持ち手もしっかりしていて使いやすく、
とても重宝しております。


今後はどんなものを作っていきたい?と聞いたところ、
「色々なものを柿渋で染めてみたい」
という答えが返ってきました。
先日、彼女の友人が結婚するということで、
新郎のスーツを柿渋染めしたそうです。
革のような印象の質感なのに軽く、
とても気に入ってもらったとか。
今後は衣服を染めることにも興味があると言っていました。
それと同時に、先人が作った衣服や絨毯やテーブルクロスなど、
古い民芸品を見て回り、
昔から人々の生活に密着していた布製品を、
今に活かすことを模索しているようです。


彼女は庭に染めたものを干した後、
柿渋染めの茶色が庭いっぱいに広がっているのを見て、
うっとりすると言います。
それをカタチにして、みんなの元にコツコツ届ける。


彼女は柿渋染めの、伝道師(ザビエル)です。
素材への愛がひしひしと伝わってきますよ。




hitin metals (ヒティン メタルズ) 佐藤江利子

高校の時の後輩の結婚式にて
所在地 埼玉県さいたま市緑区
業務内容 金属を使ったテーブルウェア、
及びインテリアのデザイン・製作
MAIL es@hitin-metals.com
URL http://www.hitin-metals.com
略歴
佐藤江利子(1978生)
2002 武蔵野美術大学造形学部
工芸工業デザイン学科 卒業
2002 株式会社プレステージジャパン 入社
TIME&STYLEにてオリジナル家具の販売、
インテリア小物の仕入れ・開発に携わる
2006 hitin metals設立



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