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やきもの、陶器、陶磁器、せともの、セラミック。
人々の生活と共に、やきもの(陶磁器)の長い歴史は作られてきました。
世界中には沢山の種類のやきものがあります。
どのやきものもその環境にあった姿をしていて、その地域に密着した形をしています。
そして日本も、中国や朝鮮から入ってきた技術を独自の姿に変え、日本独特のやきもの文化を築いてきました。

小川さんは何焼きをやっているのですか?という質問をよく受けます。
有田焼、益子焼、九谷焼・・・
日本のやきものは全国各地により様々な個性をみせています。
(ちなみに私は何焼というのは特にありません。こういう作家は結構多いです。
「有田の磁土や信楽の土をブレンドしたりして器を制作しています」と今の所は答えています。
まだその答えは考え中ですが。)

「食=器」食は生きていく為に必要なもの。そしてそれを入れる器。
人々にとってやきものというものは、生活に欠かせないものであり、
また鑑賞のモノでもありとても身近なものです。
そして民芸や茶道、デザイン、芸術など様々な形でやきものの世界は存在しています。
その中でやきものに携わる人や携わり方もまたそれぞれで、
職人・デザイナー・作家・アーティスト・趣味と幅広く、それぞれがそれぞれの想いで土と向き合っています。

様々な素材の中でもやきものの作り手は多く、人気が高い理由は何かを作ろうと考えた時、
様々な用途が思い浮かびやすく、やはり生活に身近で入りやすいからではないでしょうか。
芸術をやって生きていく自信はないし、器という形をしていて焼いてあればガラクタにはならない。
やきものは現実的なアーティストにももってこいです。
(あくまでもひとつの考え方ですが。)
ぐにゅぐにゅと土は動き、子供の頃に楽しんだ土遊びが、使えるものに変わるなんてこんなに都合の良い、
楽しいものはないと思います。
実際にやってみると思うようにいかない所も、負けず嫌いの人たちがはまっていく理由でしょう。

そして私もそのひとりのようです。

「自分で作った茶碗でごはんを食べたい」という、よくある想いから陶芸を始め10年が経ちました。
10代のあの頃、陶芸は二の次、とにかく夢の大学生活を手にした私は心が躍る毎日でした。
かわいいスカート、ヒールを履いて、ラメが入ったきれいなマニュキュアを塗る。
粘土台の前に立つ。
土練りでマニュキュアは、ぼろぼろと落ちていきました。
翌日つなぎを購入。
そして彫塑の授業では、指を骨折。

トレンディドラマで観た、あの憧れだったキャンパスライフの夢が崩れていきました。
今思えばそりゃあそうだといった感じですが。
しかし知らず知らずにその環境になじみ、知らず知らずにもう後戻りは出来ない世界へ入っていったのです。


菊の花のように見えるので菊練といいます。

ここで、皆さんにやきものができるまで
簡単に説明したいと思います。


(1) 土練り
荒練りをした後、更に土の中を均一にし
土の中の空気を抜く為に菊りをします。
(空気が入っているとヒビが出たりしてしまうからです。)


電動ロクロで形を作る事を水引きといいます。

(2) 成形(水びき)
手びねり、タタラ、電動ロクロ(電動で回転する機械)、
石膏型などを使って形を作ります。


削り

(削り)
高台を削り出し、形を整えます。


(装飾)
取っ手を付けたり、模様を入れたりします。



(3) 乾燥
1〜2日位。
大きいものや歪みやすいものは
1ヶ月位乾燥に時間をかけたりもします。


窯に入れます。

(4) 素焼き
780℃〜1000℃位。釉薬をかける際に
水分で形が壊れないように一度低温で焼きます。



釉薬(安定剤・溶解剤・着色剤等の原料が入ったドロドロした液体)


釉薬は焼くと溶けてガラス状になるので、板に付かないようしっかり裏を拭き取ります。

(5) 絵付け・釉掛け
釉薬(ウワグスリ・ユウヤク)を掛けます。
成分は色によって様々ですが、
混ぜ合わせた原料を水でとき素焼きした器に掛けます。
釉薬は、溶けるとガラス化します。


本焼き(今回は還元焼成です{電気窯})。温度が930℃位になったら、右下から火を入れます。炉内にガスを入れ空気をなくします。


はじめは穴から火が少しでます。


1000℃を越えると穴からの炎が長く強くなります。


左は、酸化焼成で焼いたもの(黄味がかっています)。右は、還元焼成でやいたもの(青味がかっています)。

(6) 本焼き
1230℃〜1300℃位。
本焼きには、
酸化(炉内に十分に空気をおくり込み
完全燃焼させて焼く方法)・還元(炉内の酸素を少なくし、
不完全燃焼の状態にして焼く方法)と
大きく2パターンの焼き方があります。
同じ土や同じ釉薬を使っても焼く方法が違うと
焼き上がりが全く変わってきます。
また、わざと一気に冷ましたり
一定の温度を保ったりすることで
釉薬の表情を出したりする方法もあります。

窯の種類も登り窯・穴窯・ガス窯・灯油窯・電気窯と様々で、
これもまた焼き上がりが使う窯によって様々です。

簡単にざっと説明してみました。
興味がある方は、是非一度遊んでみてください!


制作もしやすく、気持ちの良い季節になってきました。
私も5月の展示に向けて頑張ります!




KNUT ceramic studio(クヌート セラミックスタジオ)小川由利子

楽しかったり、悲しかったりの窯出し
2002 武蔵野美術大学 工芸工業デザイン学科 卒業
2004 沖縄県立芸術大学大学院 陶磁器専修 修了
2003 日本クラフト展 出品
2008 KNUT ceramic studio 設立

陶磁器で主にテーブルウェアーを制作。
KNUT(クヌート)としてリサイクル粘土を使用した器を展開。

MAIL yuriko@knut.jp
URL http://www.knut.jp/



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