モノ作りの現場から(アーカイブ) | 読みモノ(アーカイブ) | 最新のコンテンツはこちらです
ホーム > 読みモノ > めざせ!ロッキンオン シーズン2 02. BLUR




時代は1994年。
かの大英帝国では、「ブリットポップ」旋風が吹き荒れていました。

それまでのロックバンドを根こそぎに一新した、ニルヴァーナを筆頭とするUSグランジ勢に対して、
大英帝国は、ロックの鎖国政策ともいえる手段を選び、アイデンティティを保とうとしていたのです。

「ブリットポップ」現象とは、そもそも何だったのでしょうか?
なぜ、あれほどまでに多くの名作が生まれたのでしょうか?
単なる米国に対する対抗意識だけだったのでしょうか?

時代をもう少し前に戻してみることにしましょう。

1991年、英国ではローゼス、ジザメリ、プライマル、マッシヴ、マイブラ、マンデーズなどのマッドチェスター、
シューゲイザー系サウンドがシーンを先導していました。
80年代中盤までの音楽シーンでは、英国のアーティストが米国のチャートを賑わせていましたが、
後半の時代から、米国の商業的ロックに押されて、英国シーンを先導していたアーティストたちが、
米国との間にかなりの距離感を持つようになっていました。

それは、英国人のポップセンスに対抗するべく、米国人のロックというアイデンティティだったのですが、
米国人たちは、80年代の商業的時流に逆らえず、ポップとロックのどっちつかずのもので、
スタイルを確立できない彼らのいら立ちを、半ば嘲笑する意味での距離感でした。

しかし、時代は一変します。
9月24日ニルヴァーナの2ndアルバム「Never mind」がシーンに登場したのです。
このアルバムによって、米国のもやもや感はふっとびます。
商業的、ポップイズムといった、シンプルなロック以外の要素はすべて取り除かれ、
アイデンティティとしてのロックが、初めて米国人のものとなったのです。
それがそれまでのグランジ、オルタナティブロックをムーブメントとして結びつけ、
一世を風靡していったのです。

この煽りを受けたのが他でもない英国系アーティストたちでした。
中でも米国ツアーで惨憺たる結果をつきつけられて、大失敗に終わって帰国したバンドがいました。
それが、ブラーでした。

それから彼らは、時代の主流には乗らずに、
英国独自のメロディアスでポップなソングライティング作業の見直しに取りかかります。
次に、スタイリッシュなサウンドを取り戻すべく、ニューウェイヴの復権に着手すると、仕上げには、
ロッカーズに対抗するモッズ美学に象徴される、古典的な英国美学のルネッサンスを築き上げるのです。
米国に対する反抗というよりは、ある意味、開き直りに近いものだったのかもしれませんが、この93年、
英国的美意識を凝縮させたアルバム、「modern life is rabbish」をリリースします。
このアルバムがきっかけとなり、英国シーンは活気を取り戻していき、そして94年を迎えるのです。

1994年、ブリットポップ絶頂期。
それは、ブラーの3rdアルバム「Park life」がリリースされた4月25日、
グランジムーブメントの立役者、カートコバーンがこの世から去って間もない、3週間後のことでした。

この「ブリットポップ」現象は、97年まで続きました。
ブラーとオアシスを筆頭に、パルプ、エラスティカ、スウェード、
スーパーグラスにヴァーヴ、ケミカルなどの新参組から、
シャーラタンズ、ブラックグレイプ、ポールウェラーの生き残り組に、
マニックス、オーシャンカラーシーン、クーラシェイカーなどのロック組、
ポーティスヘッド、トリッキー、マッシヴのトリップホップ勢などの多くのアーティストを取り込んで、
このわずか4年の間に、それぞれがキャリアの頂点というべき名作を次々と発表していた、
素晴しく密度の濃い時代だったのです。

そして97年、ブラーは5枚目のアルバム「Blur」をリリースします。
それまでのポップ路線を排し、米国に接近すべく、
ローファイやガラージなどの米国インディーズに傾倒していくことになり、
デーモンの覆面バンド、ゴリラズへとつながっていくことになるのです。
しかし、「ブリットポップ」の終わりを告げたのは彼らではなかったように思います。
レディオヘッドの「OK computer」だったのではないでしょうか。

それから13年。
英国では、晴れ間のないうす暗い風景そのままに、捨て去ったアイデンティティを取り戻せないでいるのです。



BLUR
1991年「Leisure」でメジャーシーンに登場すると、
93年の「Modern life is rabbish」、94年の「Park life」、
95年の「The Great Escape」のブリットポップ3部作を立て続けにリリース。
特に94年の「Park life」は、ブリットポップの金字塔とされ、時代の象徴と賛美された。
英国の伝統性あふれるポップサウンドや、切実で叙情的なメロディ、シニカルだが
どこか明るくユーモアに溢れる英国人的日常を描いた彼らの作品は、
今なお多くの90年代フリークの心を掴んで離さない。
週末の仕事帰りのCLUB活動で、「Girls and Boys」が流れるとみんなで手を取り合って、
まるでフォークダンスみたいに、輪になって踊っていたのを想い出します。
あの頃は、今よりずっと感受性が高くて、フットワークも良くて、
誰かが何をしてもよく見えて、本当にいろんなことがあったんですが、
何をやっても、どれもおかしいことばっかりで、
楽しい時間がとてもたくさんあったように思えるんです。
(文&イラスト: special source モリソン小林)

めざせロッキンオンnight-3「 BRIT POP NIGHT 」開催!

来る10月1日の金曜日、現在展示会が催されているGEODESIQUEさんにて、20時より開催します。
展示会初日の9月10日の金曜日から営業が始まった「BONYARI BAR」の石井さんのリクエストにお応えして、
90年代のオルタナティブロックと双璧を成す、ブリットポップ全盛のあの時代の英国へと
タイムスリップしたいと思います。

※展示会の作品は引き下げての開催となりますので、事前に観ておいてから来て下さいね。
 そして、あの幻のロッキンオントランプカードを全員に1枚ずつ差し上げます。
 また、ブラーのカードを引いた1名の方に、1セットプレゼントいたします。

開催概要:BONYARI BAR at GEODESIQUE 目黒区青葉台2-16-7
20:30〜27:00 (BRIT POP DJ hour 20:30〜23:00)

※詳しくはspecialsourceのページをご覧下さい。



2009.10.09 01 THE BLUE HEARTS
めざせ!ロッキンオン シーズン2
2009.06.15 号外 『めざせ!ロッキンオンNIGHT』開催!!
2009.02.01 37 MANIC STREET PREACHERS
めざせ!ロッキンオン アンコール
2008.06.01 最終回 36 ロックヴォーカリストベストテン
2008.04.15 35 BOB DYLAN
2008.03.15 34 VANESSA PARADIS
2008.02.15 33 忌野清志郎
2008.01.15 32 80年代一発屋ベストテン 洋楽編
2007.12.15 31 WHAM!
2007.11.15 30 矢追純一
2007.10.15 29 LOU REED
2007.09.15 28 T-REX
2007.08.15 27 <拡大号>遥かなる古代からの魂(マブヤ)
2007.07.15 26 JONI MITCHELL
2007.05.15 25 hide
2007.04.15 24 小泉今日子
2007.03.15 23 RED HOT CHILI PEPPERS
2007.02.15 22 JAMES BROWN
2007.01.15 21 ロックギタリストベストテン
2006.12.15 別冊 現代手工業乃党メンバーが選ぶ「この一枚」
2006.11.15 20 荒木飛呂彦
2006.10.15 19 BEGIN
2006.09.15 18 Robert Johnson
2006.08.15 17 Radiohead
2006.07.15 16 NIRVANA
2006.06.15 15 THE STONE ROSES
2006.05.15 14 michael jackson
2006.04.15 13 prince
2006.03.01 12 madonna
2006.02.01 11 the blankey jet city
2006.01.01 10 勝新太郎
2005.12.01 09 RAGE AGAINST THE MACHINE
2005.11.01 08 U2
2005.10.01 07 DAVID BOWIE
2005.09.01 06 PRIMAL SCREAM
2005.08.01 05 椎名林檎
2005.07.01 04 BEASTIE BOYS
2005.06.01 03 OASIS
2005.05.01 02 QUEEN
2005.04.01 01 DOORS
めざせ!ロッキンオン