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ホーム > 読みモノ > めざせ!ロッキンオン 16. NIRVANA




90年代初め、アメリカではカレッジ層を中心にオルタナティヴロックの勢力は拡大していた。
REMやレッチリ、ビースティー、ミニストリーにフェイスノーモアなどが主体となって
一大ブームを巻き起こしていた。
ニルヴァーナも90年にメジャーデビューしたソニックユースを慕っていた。
そんなオルタナティヴロックの中でシアトルからX世代を代表するバンドとしてサウンドガーデンらとともに
英国のメロディーメーカー紙に特集されたのが「グランジロック」の始まりだった。
GRUNGYとは足の指の間の垢のように薄汚れたとか、単に薄汚いといった意味で使われているが、
GRUDGE(恨み)とSCUNGE(汚い)の造語だとも言われている。
どっちにしても、音楽プレスが新しい感覚のものに対して盛り上げるためにつけた造語で、
苦し紛れに生み出したものだ。
92年の「NEVERMIND」以降の彼らの大ブレイクには正直驚いたけれど、
2年後にその主人公が死ぬなんてことは92年には誰も考えもしなかった。
寄生虫のようなメディアが彼を殺して、グランジの血も吸い取ったと言われ続けているけれど、
あまりにも短絡的だ。
彼らの謳う10代の苦悩はしばらくはうまく作用したが、
そのフラストレーションの重みが音楽をサポートするには重くなり過ぎた。
あるいはポストニルヴァーナバンドたちがコマーシャリズムに走るあまりに駄作を重ねたため、
リスナーがもっと内容のあるものや、良質なポップソングを求めるようになってしまったからではないだろうか。
恐らくその後のアメリカのロックがポジティブで軽快なラウドロックに移り変わったのも、
苦しくて不満に満ちた自己軽視に嫌気が差したからだと思う。
パンク、ニューウェイブ、メタルがそうだったように、いつの時代も音楽もファッションも、自然の道のりを辿り、
しばしの間世界を変えると、新しいものに場所を譲るべく消えていくのだろう。
ニルヴァーナが教えてくれたことはこれだけだった、
「特殊な技能はいらない、ただギターを思いきり弾いて自分が思うことを歌うだけでいいんだ」

実に混沌としたカオスに時代を生きたX世代のカリスマとなったニルヴァーナは、
80年代の浮ついたロックと時代に終止符を打ち、ロックンロールそのものを原点に引き戻した。
疲れ果てた土壌をきれいにしてくれた。
彼らによってロックの素晴らしさに目覚めたオーディエンスも少なくないはずだ。

1992年あれは確か2月くらいの寒い時期だった。僕はまたもや川崎にいた。
ニルヴァーナのライヴもまた凄まじく鮮烈に印象に残っている。うねるようなクリスのベース、
スティックの根元から叩き付けるようなデイヴの乾いたスネアの音、そしてカートそのもの。

「NEVERMIND」を聴く度にこう思った。
「これは最高傑作じゃない、発展途上の勢いのあるアルバムだ。もっと深い綺麗な音を聴かせてくれるに違いない」

僕がロックの人生の中で一番悔しかったことは、彼らの次が聴けなくなってしまったことだ。


NIRVANA
1992年。90年代を象徴するアルバム、いやロック史の中でも5本の指に入るであろう歴史を塗り替えた傑作「nevermind」がグランジブームを巻き起こすも、94年カートの死によって終焉を迎える。
89年「bleech」でメジャーデビュー。その後「incesticide」「in utero」をリリースするが92年の「nevermind」を超える作品は生まれなかった。
カートは生前こう語っていた。
「ジョンレノンの名声と、リンゴスターの無名さが欲しい」
ビートルズ世代には申し訳ないが、僕ら世代にとって、前者はすでに生前成し遂げられていたと思う。そして彼は死をもって、後者を手に入れた。
(文&イラスト: special source モリソン小林)



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